国際刑事裁判所(ICC)と日本 [はてな版]

人間の安全保障の発展に貢献する日本と世界の道筋と行く末を見つめます。

〔2023年〕国際刑事裁判所の発足後の現在(2023.03.18)

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ICC締約国マップ(123/193カ国)※2023年3月現在


各条約の批准状況

国際刑事裁判所ローマ規程の締約国 (Wikipediaより)
凡例:  締約国   未批准国   脱退国   署名撤回国   非加盟国

【署名・批准状況】 (1) 

国際刑事裁判所規程(日英対訳) 批准・加入123カ国/署名137カ国

jnicc-org-tk05.hatenablog.com


最新の批准:キリバス(2019年11月26日)
※日本の批准に関する詳細・各種報道・参加報告・写真ギャラリーなど

【署名・批准状況】  (2)

APIC(ICC特権免除協定) 批准79カ国/署名62カ国 

 
最新の批准:モンゴル国(2022年04月25日)
 
出典:国際刑事裁判所を求めるNGO連合(CICC)

www.coalitionfortheicc.org


【注目】改正ローマ規程の各条項への批准状況
2010年6月の規程再検討会議の結果、締約国会議はコンセンサス(総意)で以下の規程改正を採択しました。

jnicc-org-tk05.hatenablog.com

この中で、日本政府は侵略犯罪に関して規定する改正第8条他については諸処の理由から「コンセンサスには参加せず、ただしブロックもしない」という消極的な賛意を示すに留まりました。締約国会議はすべての改正条項について、それぞれ30カ国の批准で改正規程が発効することに合意しました。

それ以後も各改訂条項への批准・加入が相次ぎ、現在の批准状況は次の通りです。
 

最新の批准:ペルー(2022年10月14日)
 
改正案本文(英文) 批准24カ国/採択111カ国  →概要〔英語〕参考 
 
最新の批准:メキシコ(2023年01月20日 

事態と案件


歴史

【2009年以前】国際刑事裁判所の歴史(1945~2009年)
【2009年以降】国際刑事裁判所(ICC) の現在


【作者紹介】  ミラー(gooブログ)版 (2012年当時)

Last Updated 2023.03.18
※昨今のウクライナ情勢を受け8年ぶりに扉ページのみ更新。デッドリンク大量につきご容赦ください。

【ICC】国際刑事裁判所の新体制が全員女性体制で発足

国際刑事裁判所の新体制が全員女性体制で発足


2015年3月11日、国際刑事裁判所ICC裁判所長会議の新メンバーが正式に就任しました。

裁判所長にアルゼンチンのシルヴィア・フェルナンデス・デ・グルメンディ判事、

裁判所第一次長にケニアジョイスアルーチ判事、

裁判所第二次長に日本の尾崎久仁子判事がそれぞれ就任しました。
外務省プレスリリース

今回の国際刑事裁判所ICC新体制発足の最大の特長は、そのトップが全て女性となったことです。ICC発足以来、所長を女性が務めるのは初めてであり画期的なこと。更にトップを女性が固めるという国際機関としても例のない新体制なのです。世界数千のNGOからなる国際刑事裁判所NGO連合(CICC)も、同様に全員女性体制のICCに期待を表明しています。

2015年中には恒久施設が稼働し始め、新体制の元、国際刑事裁判所ICCは新たな船出を迎えます。戦時性暴力の罰則規定を史上初めて盛り込んだローマ規程。そのICCが全員女性体制となったことは、人類史上、深い意義を持つことでしょう。 女性に対する社会正義の進展について今後ICCが果たす役割に期待がもたれます。

【報道】2013年世界平和度指数で日本が6位にランクイン、前年度から後退

隣国との緊張悪化と軍事対応により低下する日本の平和度


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2013年6月、本年度の世界平和度指数(GPI)が発表され。日本は1.293ポイント162国中6位にランクインしました(英文プレスリリース)。GPIは、「戦争あるいは紛争の不在により達成される調和」を平和の定義とした「平和度」を図る指標で、低い程評価が高いとされます日本語解説2007年から実施されており、日本はこれまで常に3位~5位1.413~1.287ポイントのポジションをキープしていました。ところが、Wikipediaの記録によると北朝鮮のミサイル対処を行った2009年には7位(1.272ポイントに後退。手前の2008年にはアフガニスタンにおける対テロ戦争への給油支援による後方支援参加や、ソマリア・アデン湾沖への海賊対処のための海上自衛隊の派遣により、点数が1.358ポイントへと下落しています。

これは、GPIが国際関係においては、「隣国と暴力による紛争状態にない、あるいは内乱状態にない国家」の状態を評価する指標であるのに対し、日本がそれぞれの年に軍事力による紛争解決あるいは国際協力を図る姿勢を強化したからだと見られます。
現に、本年度の評価でも「日中が対立する沖縄県尖閣諸島の領有権問題などを踏まえ、近隣諸国との関係の面でやや低い評価」となったことが報じられています


GPIの年別ランキングと得点

年  ランク 点数(要因)
2013年 6 1.293 (日中韓の領土紛争問題の悪化)
2012年 5 1.326
2011年 3 1.287
2010年 3 1.247
2009年 7 1.272(北朝鮮のミサイル発射への軍事的対処)
2008年 5 1.358(アフガニスタン給油支援活+ソマリア海賊対処の実施)
2007年 5 1.413

GPIは、国際研究機関「経済・平和研究所」による世界の「平和度」(peacefulness)を初めて統計的に図る試みです。英経済紙「エコノミスト」の調査部門であるエコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)という世界中の学者や専門家、活動家から構成される国際チームにより、国防費から隣国との外交関係などに及ぶ24の評価項目に従って各国の実績が評価され、格付けされます。この経済紙が主導して行う「平和度」指数の評価が、2009年に続き歴代最低水準となったのは心に留めておくべきでしょう。

主張:階猛議員が国会で追及した上田人権人道大使の暴言や刑事司法の問題について報じないマスコミの怠慢と責任

【06/11】国連人権委員会における上田人権人道大使の暴言について、衆議院法務委員会で民主党階猛(しなたけし)議員が質問した。質問を受けたあべ外務大臣政務官「口頭による注意を行った、本人は反省している」と答弁。その質疑の概要をツイートし、国会速記録等の資料を総合情報ポータルⅡに追加した。初報から10日が経った今になって、】国内マスコミ各社は一斉に暴言のことを報じたが国会で責任追求がなされたことを報じるマスコミは一社もなかった。以下は、事実が埋もれないよう改めてツイート及び情報をまとめたものを、ブログ形式に改めて再編したものの本編「主張編」である。
主張:マスコミが触れようとしない、国内の人権状況の改善という課題

  • 階議員による質疑の概要とマスコミの報道の質の問題
「概要編」では、全体として、日本政府に国連拷問禁止委員会の勧告を真摯に検討する意思がないことを端的に示した。この勧告(総括所見)について日弁連は早くも【6/4】に会長声明を出している。その中で、日弁連は以下の7つの点を重視している
  1. 代用監獄制度
  2. 取調べと自白
  3. 難民認定制度と入管収容施設
  4. 刑事施設及び留置施設の被収容者からの不服申立
  5. 拘禁処遇
  6. 死刑制度と死刑確定者の処遇
  7. 戦時性奴隷制に関する公人による被害事実の否定

【06/11】の国会質疑で民主党の階猛(しなたけし)議員は、以下を要点に質問を行った。
  1. 上田大使の発言は問題ではないか
  2. 上田大使に対する注意の処分は軽すぎないか
  3. 取調べ方法の改善にどう対応するか
  4. 従軍慰安婦に関する公人の言動に対する政府の反論要請をどう受け止めるか
これら質問の内容は、階議員自身が公開している質問通告の内容から把握できる実際はこれ以外にも刑事司法に関する質問を中心的に行っているが、この際は拷問禁止委員会の勧告に沿った質問のみに限定してまとめる。

これら要点のうち、【06/14】以降、このブログ執筆時点でマスコミが報じたのは、せいぜい①発言の問題のみで、このツイートの時点で、②処分の問題について報じたのは時事通信読売新聞のみ。しかも読売新聞は、国会質疑の内容にすら触れていない。

時事の報道
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読売の報道
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一方、上田大使の暴言が報じられる【06/14】以前にマスコミが報じたのは、従軍慰安婦に関連する橋下氏の発言に対する国連拷問禁止委員会の対応のみである。より本質的な問題として提起された③取調べ方法の改善という具体的な刑事司法上の課題については殆ど全く触れられていない。日弁連の会長声明が示すように、問題は多岐に渡るのにもかかわらずである。

【06/11】の国会質疑で階議員は、このほんの一部である①取調べの可視化の問題について触れたのである。その時の政府代表の対応はどうだったか。それは、この速記録(未定稿)から確認できる。また動画も公開されているので、是非見て頂きたい。

質疑の動画

  • 質疑内容の詳細 《国連拷問禁止委員会の勧告編
【6/11】質疑の内容に入る。階議員は先に示した質問通告に従い、【5/31】に拷問禁止委員会が発表した勧告(総括所見) の中から、取調べと自白の項目について具体的な質問を行った。取調べについて、以下の3項目の提案を例示し政府はどう対応するのかを質した。
  • (a)取調べ時間に制限を設け、違反があれば罰すること
  • (b)自白に依存する捜査慣行を改善すること
  • (c)取調べの全過程の録音・録画などの安全措置を実施すること
法務大臣は、これらの点についてどのように対応するお考えか」

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この質問に対し、谷垣法務大臣はおよそ次のように答弁した。

谷垣法相「勧告の内容は法制審議会の特別部会で議論中である。議論の結論として答申が出されたら、それを実現するよう取り組む所存である。」

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  • 06/11の段階で勧告の翻訳すら行っていない政府
ところが、次の質問で対応の実態が明らかになる。

谷垣法相の答弁に対し、階議員は事務方に検討状況を確認する。

階議員「審議会の方にはこの拷問委員会の勧告の内容というのは伝わっているのか」
参考人「勧告は出されたばかりであるし審議会の部会は開かれていないので今後検討する」 

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実はこの質問の前段で、階議員は外務省が委員会の勧告を翻訳していないことを確認したことを明かしている。つまり、日本政府内では勧告の全容を(少なくとも日本語では)把握していないことになる。日弁連は会長声明まで出しているのにもかかわらず、だ。

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次に、階議員は委員会の勧告として、④従軍慰安婦に関する公人の言動に対する政府の反論要請をどう受け止めるかを質問した。議員が問題にしたのは、この「公人」の定義に閣僚が含まれていることだった。内閣の外の人間だけの問題ではないのである。
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この質問に対し谷垣法相はまずこう応えた。

慰安婦問題につきましては、日本政府としては、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であるとして、機会あるごとに、心からのおわびと反省の気持ちを表明してきたものと認識しております。」(速記録より)

その上で、谷垣法相は、法務省だけではなく政府全体として検討しなければならない、適切に対応しなければならない」と答弁し、階議員は「重要な指摘、勧告がなされている」ことを強調し、これを以て拷問禁止委員会に関する答弁を終了した。
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以上が、拷問禁止委員会の勧告に関わる階議員の質疑内容の全容である。国連の勧告に対する政府の姿勢を示すこの重要な国会でのやりとりについて、マスコミはまったく報じていないのである。参考までに、前段のまとめで行った上田大使の暴言問題とその処分についてのやりとりも以下記す。

  • 質疑内容の詳細 《上田人権人道大使の責任問題》
国連拷問禁止委員会における上田人権人道大使の暴言の問題について階議員国益に照らしていかがなものか」と指摘してまずはその問題性を挙げた。これに対してあべ外務大臣政務官はおよそ次のように答弁した。

「その表現ぶりに対して必ずしも適切ではないと考えている。口頭による注意を行った」

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この答弁に対し階議員は、日本の刑事司法では「捜査が取調べに偏重しており、違法であったり不当な取調べがあることは明らかになっているので、“黙れ”と言えるほどのものもない」とぴしゃりと指摘。「処分が甘すぎるのではないか」と質問を返す。

あべ大臣政務官はこの質問に対して初めて、上田人権人道大使自身が「自身の発言のその表現ぶりに関して、必ずしも適切ではなかったということに関しての反省の意をあらわしている」と明らかにしつつ、政府の説明の正当性を強調する(□部分)。

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このおよそ的外れな答弁に対し、階議員は「最後の点については、今の議論とは直接は関係ないと思う」と冷静に返し、「聴衆に対して暴言を吐いたことと、議論の場でちゃんと説明をしたということは別問題だ」と政府の不誠実な姿勢を指摘する。

「最後の点については、今の議論とは直接は関係ないと思うんですね。聴衆に対して暴言を吐いたことと議論の場でちゃんと説明をしたということは別問題だと思います。」(速記録より)

そして最後にこう指摘して答弁を終える。

「上田人権大使というのは外務省のOBですし、任命権者は外務大臣です。ですから、外務大臣としてもこれは責任を持ってこういう行動に対しては厳しい対応をとるべきだと思っておりますので、ぜひその点はよろしくお願いいたします。」

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さらに本日【06/16】、階議員からこのようなメッセージを頂いた。

「暴言の映像とそれが発せられた文脈からして、上田大使の言動は日本の国益を損なうものです。」

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この点、まったく異論はない。
  • 結論
以上が、上田人権人道大使の発言の問題とその処分の問題、そして国連拷問禁止委員会の勧告の内容に対する政府の対応について質問を行った【6/11】国会質疑の全容である。マスコミはこの重大な案件について、本当につまみぐいする程度のことしか報せていない。国民はその情報を元に判断する。

上田人道人権大使の暴言、そして国連拷問禁止委員会の勧告に対するマスコミの報道姿勢は不十分を越えて怠慢の域に達している。前者については初報の10日後まで報道せず、後者についてはその一部分しか報じないことで問題を矮小化している。その中で、今回の階議員の国会質疑が行われたのである。

ところが、マスコミはこ重要な国会質疑になついてもほとんど報じず、政府が対応として「口頭で注意」を行ったことしか、概要として伝えていない。これでは国民は正しい判断ができないではないか。政府が適切な対応を行っているか否かも目に見えない。国際的な失態について、これが適切な対応だろうか。

上田人権人道大使の失態は、10日以上前にネットメディアが報じていた。しかしその内容は情報元の弁護士にすれば本質に沿うものではなかった。10日後いよいよマスコミが報じたが、その内容は殆ど変わらなかった。

このような質の情報しか提供できないマスコミをこそ国民は問題視すべきである。


国際刑事裁判所問題日本ネットワーク
事務局長 勝見貴弘

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概要:階猛議員が国会で追及した上田人権人道大使の暴言や刑事司法の問題について報じないマスコミの怠慢と責任

【06/11】国連人権委員会における上田人権人道大使の暴言について、衆議院法務委員会で民主党階猛(しなたけし)議員が質問した。質問を受けたあべ外務大臣政務官「口頭による注意を行った、本人は反省している」と答弁。その質疑の概要をツイートし、国会速記録等の資料を総合情報ポータルⅡに追加した。初報から10日が経った今になって、】国内マスコミ各社は一斉に暴言のことを報じたが国会で責任追求がなされたことを報じるマスコミは一社もなかった。以下は、事実が埋もれないよう改めてツイート及び情報をまとめたものを、ブログ形式に改めて再編したものの「概要編」である。
概要:マスコミが触れようとしない、国内の人権状況の改善という課題

  • 国会質疑の概要(国連拷問禁止委員会の勧告)
【06/14】国連の拷問禁止委員会での上田人権人道大使の暴言について、その初報を伝えた小池振一郎弁護士が自身のブログで上田大使に関する国会質疑が行われたたことを報告した。この国会質疑の模様、質疑を行った民主党階猛(しなたけし)議員ブログで報告していた

質疑の動画

質疑でわかったのは法務省の対応が酷いということ。国連拷問禁止委員会の勧告(総括所見)が出されたのは【05/31】日弁連や人権NGOのヒューライツ大阪は【06/04】の時点で会長声明内容を詳述した報告を発信している。にもかかわらず、状況は次のとおり。
  1. 総括所見は翻訳されていない。
  2. 法制審議会は通知されていない。
法曹界が国連拷問禁止委員会の総括所見の発出後わずか4日後の【06/04】に会長声明まで発するほど内容を精読できているのに、委員会に出席していた筈の法務省の面々が【06/11】時点でまだその翻訳すら終わっていないというのはどういうことなのか。

まるでやる気がないということではないか。

この国連拷問禁止委員会総括所見、ものの13ページしかない。日弁連が発出直後に翻訳して3日かかって1日吟味して、4日目には会長声明をリリースできたというのも十分わかる話だ。法務省は委員会で答弁するのに必死で疲労困憊で、担当者たちはいずれも帰国してだれきっているんだろうか。

まったく、ふざけた話である。

  • 階議員と海江田代表にツイート
まず、階議員に質疑の御礼のツイート(12)を行った。

上田人権人道大使に対する質問を行って下さったと、小池弁護士のブログで知りました。速記録を拝見し議員の責任追及姿勢に胸の空く思いがいたしました。いち国民として御礼を申し上げます。あべ政務官のが「口頭による注意」という処分は、ご指摘の通り全く不十分です。また「口頭による注意」は担当主幹の外交政策局長が行ったとのことですが、へたをすれば上田人権人道大使のほうがシニオリティーがあり、口頭でもひじょうに弱い注意であっただろうことは想像に難くありません。どうか一般でも目に見える処分を引き続きご要請ください。

そして、代表の海江田万里には追加質問を要請した

海江田代表はじめまして。【5/31】拷問禁止条約に関する国連拷問禁止委員会が出した総括所見について【6/11】階衆議院議員が質疑を行いましたが法務省はのらりくらりと追求をかわしました。委員会の勧告は重要な指摘ですので引き続き政府を追求してください。

階議員からは、一言だが御礼のお返しのツイートを頂いた。
このように返信して更なる追求をダメ押ししておいた。

  • マスコミ一斉報道の実態
【06/14】初報から10日遅れで、国内マスコミが上田大使の暴言があった事実について一斉に報道し始める。【06/16】までの間の2日間、全部で12本。階議員による国会質疑について満足に触れたのは時事通信のみ。しかもその内容は、上田大使の責任追及を行った一点のみで、刑事司法上の問題についての指摘はなし。

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本来なら、この点についてこそ特集が組まれてもよい筈だ。

【06/14】以降の一斉報道で12本もの報道がなされたが、そのうち拷問禁止委員会が指摘する事項について問題提起したマスコミは皆無。だがこれは実態として問題がないということではない。日弁連は委員会の勧告である総括所見について【06/04】の時点でこれを重く受け止める会長声明を発しているのだから。

  • この問題を追及する理由
総合情報ポータルⅡに集約されている委員会出席者のブログにも示されているとおり、法曹界や日本の刑事司法の当事者となった人たちの現代刑事司法に対する問題意識は高い。国会議員もこの意識を持って質疑に臨んだのに、マスコミはこれにまったく触れていない。

私がこれまで(そしてこれからも)上田人権人道大使の暴言問題を問題視し続けていいく理由は、暴言行為そのものではなく、その行為が示す以下の3つの問題を提起するためである。
  1. 日本の人権外交の実態ブログ
  2. 日本の人権外交における人権大使の位置付けブログ
  3. 国内の人権状況の実態の問題ブログ

【06/14】の一斉報道から2日経っても、以上の三点を指摘する上で、①②の日本の人権外交に反映される③国内の人権状況という内政・行政上の問題にやはりフォーカスを置かなければならないと痛感した。マスコミはその点から完全に逃げており、真摯に問題として取り扱おうとする姿勢は見られない。私は国内刑事司法の専門家ではないので、他の専門家たちの問題意識を借りて代弁させて頂くことしかできない。だが日弁連という法曹界を代表する団体が何年にも渡って問題視してきた事柄は、日本の人権状況改善のために必要な改革なのだろうと考える。

その観点から、まず階議員が国会で問題点として挙げたポイントとこれに対する日本政府のきわめて問題ある姿勢について、国会質疑の内容を詳述することで明らかにしていきたいと思う。

【06/11】国会質疑の内容については、以降の「主張編」にあらためて詳述する。

国際刑事裁判所問題日本ネットワーク
事務局長 勝見貴弘

情報:国連拷問禁止委員会での上田人権人道大使の発言をめぐる論考・報道・情報総合ポータルⅡ(※転載歓迎)

概要 - Overview -

2013年5月21日~22日の間、日弁連の代表団がスイス・ジュネーヴで行われた国連の第50回拷問禁止委員会(Committee Against Torture:CAT)に出席した。その代表団の一人、小池振一郎弁護士が、委員会で行われた日本政府代表団団長上田秀明人権人道大使の問題のある発言を自身のブログに記載した際、瞬く間に話題となり、後発で一部新聞及びネットメディアでも報道された。国際刑事司法の発展に関わってきた市民社会の人間として、この問題を個人の資質の問題で済ませないため、私がこの問題の核心であると捉える日本政府の以下の3つの問題と、国会での行動についてツイッター上でコメントし、複数のまとめを作成した。
  1. 国際人権・人道課題に対する基本姿勢の問題
  2. 国際人権・人道課題に対する方針の問題
  3. 国内刑事司法の現実的課題の問題
  4. 責任追及を行う国会質疑が行われた事実の指摘

これらのまとめは後に、それぞれ「完全版」としてブログにも掲載された。
本総合ポータルは、これらのブログ、報道、基本情報等の関連情報を集約したものである。

Ⅰ. 論考ブログ  - Blogs, Tweet compilations - 

  1. 日本の人権外交の ①基本姿勢の問題  ⇒ ツイッターまとめ(コメント1) + 英語版(EN)
  2. 日本の人権外交の ②方針の問題     ⇒ ツイッターまとめ(コメント2) + 反応まとめ
  3. 刑事司法が抱える  ③現実的課題の問題 ⇒ ツイッターまとめ
  4. 暴言責任を追求する④国会質疑の事実  ⇒ ツイッターまとめ + 概要編 & 主張編

Ⅳ. 委員会出席者・関係者・ブロガー記事等 - Main Input -

出席者
CAT Participants 
動画
Video from the 6/11 parliamentary deliberation by DPJ Rep. Shina

Video from the 6/19 parliamentary deliberation by DPJ Rep. Shina


関係者
Foreign affairs and legal experts
ブロガー
Bloggers

Ⅴ. 関連資料等 - References -

United Nations Committee Against Torture: Consideration of State Reports
Legal community
人権NGO
Human rights NGOs


文責:国際刑事裁判所問題日本ネットワーク(JNICC)事務局長 勝見貴弘
Written and compiled by Takahiro Katsumi, Secretary General, Japanese Network for the ICC

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【侵略犯罪】 ボツワナ、ドイツの2か国がローマ規程改正第8条と侵略犯罪の改正条項に批准(ASP)

 プレスリリース: 2013/06/10

 ボツワナ、ドイツの2か国がローマ規程改正第8条と侵略犯罪の改正条項に批准

 ICC-ASP-20130610-PR916


イメージ 1締約国会議(ASP)議長のエストニアティーナ・インテルマン(Tiina Intelmann)大使は、侵略犯罪に関する改正条項、及び戦争犯罪に関するローマ規程改正第8条について、ドイツ連邦共和国のギド・ヴェスターヴェレ(Guido Westerwelle)外務大臣及びボツワナ共和国のチャールズ・テムバニ・ントゥワガーエ(Charles Thembani Ntwaagae)常任国連大使により批准書が寄託されたことを歓迎した。
インテルマン議長は、1998年のローマにおける全権外交使節会議での交渉において、侵略犯罪を国際刑事裁判所が管轄する犯罪の一つとするために、当時ドイツが中心的な役割を果たしたことを挙げ、同国がその後も継続してこうした中心的役割を果たし続けたことが、カンパラで2010年に行われた再検討会議において改正条項の採択に至る原動力となったと評価した。
インテルマン議長はさらに、ボツワナがアフリカで改正条項に批准する最初の国であることに留意し、他の締約国がドイツやボツワナの模範に応えることへの期待を表明した。2か国は6月の3日と4日にそれぞれ批准書を寄託し、これにより侵略犯罪に関するカンパラ改正条項への批准国は7か国となった。議長は、2か国による批准はICCに対する地域を越えた支持と信頼の顕在化を示すもので、ICCが国際社会における根幹的な機関であることの証であるとした。
改正条項は侵略犯罪を定義し、同犯罪に対する管轄権行使の要件を定めるもの。ICCは、30の締約国が改正条項の批准または受諾を行った1年後、並びに締約国の多数により2017年1月1日以降に行われる決定に従うことを条件に管轄権を行使することが可能となる。
 


補足:このプレスリリース当日の6月10日、実はノルウェーも侵略犯罪に関する改正条項の批准書を寄託。8か国目の締約国となった。ノルウェーの批准により、管轄権行使の要件の一つである30か国の批准まで残りあと22か国となった。