国際刑事裁判所(ICC)と日本 [はてな版]

人間の安全保障の発展に貢献する日本と世界の道筋と行く末を見つめます。

概要:階猛議員が国会で追及した上田人権人道大使の暴言や刑事司法の問題について報じないマスコミの怠慢と責任

【06/11】国連人権委員会における上田人権人道大使の暴言について、衆議院法務委員会で民主党階猛(しなたけし)議員が質問した。質問を受けたあべ外務大臣政務官「口頭による注意を行った、本人は反省している」と答弁。その質疑の概要をツイートし、国会速記録等の資料を総合情報ポータルⅡに追加した。初報から10日が経った今になって、】国内マスコミ各社は一斉に暴言のことを報じたが国会で責任追求がなされたことを報じるマスコミは一社もなかった。以下は、事実が埋もれないよう改めてツイート及び情報をまとめたものを、ブログ形式に改めて再編したものの「概要編」である。
概要:マスコミが触れようとしない、国内の人権状況の改善という課題

  • 国会質疑の概要(国連拷問禁止委員会の勧告)
【06/14】国連の拷問禁止委員会での上田人権人道大使の暴言について、その初報を伝えた小池振一郎弁護士が自身のブログで上田大使に関する国会質疑が行われたたことを報告した。この国会質疑の模様、質疑を行った民主党階猛(しなたけし)議員ブログで報告していた

質疑の動画

質疑でわかったのは法務省の対応が酷いということ。国連拷問禁止委員会の勧告(総括所見)が出されたのは【05/31】日弁連や人権NGOのヒューライツ大阪は【06/04】の時点で会長声明内容を詳述した報告を発信している。にもかかわらず、状況は次のとおり。
  1. 総括所見は翻訳されていない。
  2. 法制審議会は通知されていない。
法曹界が国連拷問禁止委員会の総括所見の発出後わずか4日後の【06/04】に会長声明まで発するほど内容を精読できているのに、委員会に出席していた筈の法務省の面々が【06/11】時点でまだその翻訳すら終わっていないというのはどういうことなのか。

まるでやる気がないということではないか。

この国連拷問禁止委員会総括所見、ものの13ページしかない。日弁連が発出直後に翻訳して3日かかって1日吟味して、4日目には会長声明をリリースできたというのも十分わかる話だ。法務省は委員会で答弁するのに必死で疲労困憊で、担当者たちはいずれも帰国してだれきっているんだろうか。

まったく、ふざけた話である。

  • 階議員と海江田代表にツイート
まず、階議員に質疑の御礼のツイート(12)を行った。

上田人権人道大使に対する質問を行って下さったと、小池弁護士のブログで知りました。速記録を拝見し議員の責任追及姿勢に胸の空く思いがいたしました。いち国民として御礼を申し上げます。あべ政務官のが「口頭による注意」という処分は、ご指摘の通り全く不十分です。また「口頭による注意」は担当主幹の外交政策局長が行ったとのことですが、へたをすれば上田人権人道大使のほうがシニオリティーがあり、口頭でもひじょうに弱い注意であっただろうことは想像に難くありません。どうか一般でも目に見える処分を引き続きご要請ください。

そして、代表の海江田万里には追加質問を要請した

海江田代表はじめまして。【5/31】拷問禁止条約に関する国連拷問禁止委員会が出した総括所見について【6/11】階衆議院議員が質疑を行いましたが法務省はのらりくらりと追求をかわしました。委員会の勧告は重要な指摘ですので引き続き政府を追求してください。

階議員からは、一言だが御礼のお返しのツイートを頂いた。
このように返信して更なる追求をダメ押ししておいた。

  • マスコミ一斉報道の実態
【06/14】初報から10日遅れで、国内マスコミが上田大使の暴言があった事実について一斉に報道し始める。【06/16】までの間の2日間、全部で12本。階議員による国会質疑について満足に触れたのは時事通信のみ。しかもその内容は、上田大使の責任追及を行った一点のみで、刑事司法上の問題についての指摘はなし。

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本来なら、この点についてこそ特集が組まれてもよい筈だ。

【06/14】以降の一斉報道で12本もの報道がなされたが、そのうち拷問禁止委員会が指摘する事項について問題提起したマスコミは皆無。だがこれは実態として問題がないということではない。日弁連は委員会の勧告である総括所見について【06/04】の時点でこれを重く受け止める会長声明を発しているのだから。

  • この問題を追及する理由
総合情報ポータルⅡに集約されている委員会出席者のブログにも示されているとおり、法曹界や日本の刑事司法の当事者となった人たちの現代刑事司法に対する問題意識は高い。国会議員もこの意識を持って質疑に臨んだのに、マスコミはこれにまったく触れていない。

私がこれまで(そしてこれからも)上田人権人道大使の暴言問題を問題視し続けていいく理由は、暴言行為そのものではなく、その行為が示す以下の3つの問題を提起するためである。
  1. 日本の人権外交の実態ブログ
  2. 日本の人権外交における人権大使の位置付けブログ
  3. 国内の人権状況の実態の問題ブログ

【06/14】の一斉報道から2日経っても、以上の三点を指摘する上で、①②の日本の人権外交に反映される③国内の人権状況という内政・行政上の問題にやはりフォーカスを置かなければならないと痛感した。マスコミはその点から完全に逃げており、真摯に問題として取り扱おうとする姿勢は見られない。私は国内刑事司法の専門家ではないので、他の専門家たちの問題意識を借りて代弁させて頂くことしかできない。だが日弁連という法曹界を代表する団体が何年にも渡って問題視してきた事柄は、日本の人権状況改善のために必要な改革なのだろうと考える。

その観点から、まず階議員が国会で問題点として挙げたポイントとこれに対する日本政府のきわめて問題ある姿勢について、国会質疑の内容を詳述することで明らかにしていきたいと思う。

【06/11】国会質疑の内容については、以降の「主張編」にあらためて詳述する。

国際刑事裁判所問題日本ネットワーク
事務局長 勝見貴弘