国際刑事裁判所(ICC)と日本 [はてな版]

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解説【概要】「ローマ規程」とは(2023.03.18更新)

国際刑事裁判所ローマ規程
Rome Statute of the International Criminal Court

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国際刑事裁判所に関するローマ規程(全条文)とは、ICC条約の通称で、正式名称は国際刑事裁判所設立条約」といいます。ローマ規程は、1998年7月にローマにおける「国際刑事裁判所設立のための国連全権外交会議」で137カ国(※)の賛同を受けて採択された国際条約です。採択とは、条約の「成立」を促すための署名を意味しますが、実際に条約が効力を持つ発効とは異なります。
 
この条約では、国際社会にとって最も深刻な次の4つの犯罪を行った個人を国際法に基づき訴追し、処罰するための常設の国際刑事法廷の設置を定めています。

ICCが管轄する4つのコア犯罪

  1. 人道に対する犯罪 - 平時に行われる 国際法(人権法)に対する違反行為
  2. 戦争犯罪 - 戦時に行われる 戦時国際法(人道法)に対する違反行為
  3. 集団殺害犯罪 - 平時・戦時を問わず 特定の民族や集団に危害を加える目的で行われる、ジェノサイド条約に違反する行為
  4. 侵略犯罪 - 国の政治的または軍事的行動を、実質的に管理を行うかまたは指示する地位にある者による、その性質、重大性および規模により、国際連合憲章の明白な違反を構成する侵略の行為の計画、準備、着手または実行

国際刑事裁判所ローマ規程は1998年に採択されて成立しましたが、それから実際に発効するまでさらに4年の月日をかけ、2002年7月1日、条約の発効に必要な60カ国の批准(正確には批准に必要な数を超えた全66カ国)を得て、正式に発効しました。他にも「ICC規程」「ICC条約」などと呼ばれることがあります。

参考:  当ブログ資料「【資料】(2a)外務省資料(2005.11.30)に関する補足」より 

 

※ 国連の公式記録(参照)では139カ国となっていますが、条約発効前の2002年5月と6月に、米国イスラエルがそれぞれほぼ同時に署名撤回の意思を表明したため、ここでは下方修正しています。ちなみに、両国の署名撤回の意思は、国際条約の批准書の寄託を請け負う国連の条約局では正式に受理されていません

 

国際刑事裁判所ローマ規程の署名・批准状況(2023年3月現在)
●発効:2002年07月01日
●署名:137カ国
●批准:123カ国(最近批准した国:【キリバス】2019年11月26日)
出典:CICC公式サイト