国際刑事裁判所(ICC)と日本 [はてな版]

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〔07年中盤〕国際刑事裁判所の発足後の歴史(2007.10.25更新)

国際刑事裁判所ICC)の世界の現在 (2007年中盤)

5月

・2日: ICCの第1予審裁判法廷がスーダン政府の元内務大臣及び民兵組織の指導者の両名に対し、戦争犯罪および人道に対する罪の容疑で逮捕状を発行する。今回の逮捕状の発行は、国連憲章第7章に基づき同案件に関する権限を付託された後の初めての権利の行使となり、ICCに対する協力義務は全ての国連加盟国に対して発することとなる。

・7-8日: インドネシアジャカルタで第6回ICCアジアNGO地域専門家会議が開かれる。日本の批准を受け、今後のアジアにおける普遍的管轄権確立のための戦略について議論が重ねられた。

・8日: フランス選出のクロード・ジョルダ判事(第一審裁判部門)が健康上の理由により辞任を表明した。2007年8月12日付けでの辞任となり、後任の判事は、ローマ規程第37条〔欠員〕の規定に基づいて今年11月に開催予定の次期締約国会議によって選出されることとなる。

・11日: 5月8日の官報掲載を定めた閣議決定に基づき、国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律(閣法第48号)が、5月11日付けの官報に法律第37号として掲載・公布される。 (出典「日本法ニュース」

・15日: 自民党ICC議連が、創設以来2回目の会合を開く。目前に多くの課題を控えていることが認識され、議連存続の意義が改めて確認される内容となった。詳細(上) 詳細(下)

・18-19日: 国際刑事弁護士会(ICB)と、日本弁護士連合会(日弁連)を含む国際法曹団体「LAWASIA」の共催で、東京で拡大理事会・特別総会及び国際刑事法セミナーが開催される。世界の第一線で活躍する刑事弁護人、裁判官、検察官が集結。ICCからもサン・ヒュン・ソン判事(韓)ブルーノ・カターラ書記官(仏)が講演を予定。(詳細はコチラを参照

・22日、ICCモレノオカンポ検察官が、中央アフリカで政府軍と反乱軍の間に起きた武力衝突中に行われた戦争犯罪を訴追するための捜査を開始したこと発表する。ICCの締約国から付託された案件について、ICCが捜査の開始に踏み切ったのは、コンゴ民主共和国ウガンダに次ぎ、これで3件目となる。
6月

・7日、オランダ政府とICCとの間で、「国際刑事裁判所本部協定」が調印される。協定をめぐる交渉は2003年1月に始まっており、2006年12月には締約国会議に承認されていた。同協定は2007年5月にオランダ政府閣僚会議により承認されており、議会承認を得たのち国内法として正式に成立する運び。

・7日、ICCモレノオカンポ検察官が国連安全保障理事会にてスーダンダルフールに関する5回目の報告を行う。ダルフールの案件で逮捕状が発行された二名の容疑者について、各国に対し逮捕協力を呼びかけ、現在ダルフールのみならず、この事態に関連して隣国のチャドや中央アフリカで行われた可能性のある犯罪についても情報を収集中であることが明らかにされた。
7月

・1日、国際刑事裁判所ローマ規程が発効から5周年を迎える。ローマ規程は2002年4月11日、10カ国が一挙に批准し、条約発効に必要な60カ国の批准の要件が満たされることにより発効した。現在ICCは、北部ウガンダコンゴ民主共和国スーダン中央アフリカの4ヶ国で捜査を継続しており、今年後半にはコンゴ民主共和国における少年兵徴兵に関するThoms Lubanga(トマ・ルバンガ)被疑者に対する裁判が行われる予定。

・6日、日本政府は、本年12月に行われるICC裁判官補欠選挙の候補者として齋賀富美子人権担当大使・国連女子差別撤廃委員会委員を指名することを内閣で協議した。政府が補欠選挙への候補者選出を公にしたのはこれが初めてで、指名が閣議により承認されれば、ICCの裁判官選挙候補者が日本から初めて擁立されることとなる。

・10日、日本政府は、法務省・外務省提出の「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律」に関する政令の案件についてこれを承認。ICC協力法に関する政令が公布されたことにより、国連に加入書を寄託するための段取りが全て整った。尚、外務省国際法局に確認したところ、加入書の寄託は7月17日(国際司法の日)に行われることが確定している。同日中に最終的な閣議決定が行われ、その決定を受けて、ニューヨークで加入書が寄託されるという運びである。

・17日、ニューヨーク国連本部条約局にて、日本政府代表による国際刑事裁判所ローマ規程加入書の寄託が行われる。日本はこれで105カ国目の加盟国としてローマ規程に批准したことになり、同規程は今年10月1日に、日本国内において効力を生ずることとなる。