2002年7月1日当時、発効を祝う主要な関係者一同(提供:CICC)
ローマ規程発効5周年を祝して
2007年7月1日は、国際刑事裁判所(ICC)を設立した国際刑事裁判所ローマ規程、通称ICC条約が発効してちょうど5周年目に当たる。史上初の常設国際刑事裁判所の誕生を祝うイベントが、世界各地で行われている。
5年前の4月11日、ニューヨークの国連本部では、ボスニア、ルーマニア、カンボジア、ブルガリア、コンゴ民主共和国、アイルランド、ヨルダン、モンゴル、ニジェール、スロバキアら10ヶ国が批准書を携え、批准書寄託合同式典に臨んだ。条約発効に必要な60カ国の批准の要件がこれで満たされ、ローマ規程は事実上この日に発効した。
実は、10ヶ国もの国が同時に批准書を寄託しようと至ったのには、市民社会の積極的な働きかけがあった。批准を決めかねていた各国に、各国の支部が働きかけ、最終的に批准日のシンクロを起こさせたのである。そして、国連もこの働きかかけを認め、この日批准する10カ国全てを、60ヶ国目として扱うことにした。つまり、本来は4カ国で発効が成立し残りの6ヶ国は60ヶ国国目からはあぶれる筈だったのを、粋な計らいで60ヶ国目として計上したのである。これにより、6ヶ国すべてが、60番目の批准国という名誉を手にすることができたのである。条約の世界も、全てが四角四面ではないという好例だ。無論、この6ヶ国には法的には何も特別な資格は付与されていない。
こうした記念すべきイベントを経て、2002年7月1日、規定に基づき60日後の1日にローマ規程は発効。史上初の常設の国際刑事裁判所設立条約がここに成立した。
5周年目となる今月半ば、日本政府は5年前の10ヶ国同様、ニューヨークの国連本部で批准書寄託を行い、そのための記念式典を予定している。7月17日には、ローマ規程が採択された「国際司法の日」(World Day of Justice)を迎えるが、日本の批准はピッタリとその日に落ち着くかもしれないという予測もある。
たしかに「国際司法の日」は歴史的に意味のある日である。全世界から159ヶ国もの国が集まり、そのうち120ヶ国がローマ規程に署名したのである。残念ながらこの中に我が国日本は含まれていないが、実は、規程採択交渉において先導的な役割を果たした立役者でもあったことはあまり知られていない。それでも、日本は当時の時代背景などの諸事情により、署名ができなかった。関係者は会場で断腸の思いだったことだろう。
ローマ規程の署名は最終的に、署名期限の2000年末までに139ヶ国を数えた。この最後に署名した139ヶ国目が、アメリカ合衆国である。当時のクリントン大統領は、アメリカとしてはICCに賛同できないと考えていた。だが署名国数が急増するにつれ、考えが変わっていった。結果、クリントン大統領は署名期限ぎりぎりの2000年12月31日にローマ規程に署名した。だが2002年の5月、ローマ規程の発効直前に、クリントンの政策を継承したブッシュ政権は、クリントン大統領の最後の勧告をもとに、規程への署名を撤回するという、歴史上稀な行動にでる。この行動は1ヶ月後、盟友イスラエルによって模倣される。これにより、ローマ規程の実質の署名国は、公式記録上の139ヶ国ではなく、137ヶ国となる。
あれから5年が経過し、日本はまさに今年、ICCに加盟しようとしている。
歴史的に、様々な紆余曲折を経ながらも、105ヶ国の加盟を集め、いま日本を迎え入れようとしているICC。
その発効5周年目となる今年2007年に加盟する国の国民であることを、誇りに思う。
2007年7月1日
ローマ規程発効5周年にあたって
Peace For Action!(^o^y
JNICC勝見
5年前の4月11日、ニューヨークの国連本部では、ボスニア、ルーマニア、カンボジア、ブルガリア、コンゴ民主共和国、アイルランド、ヨルダン、モンゴル、ニジェール、スロバキアら10ヶ国が批准書を携え、批准書寄託合同式典に臨んだ。条約発効に必要な60カ国の批准の要件がこれで満たされ、ローマ規程は事実上この日に発効した。
実は、10ヶ国もの国が同時に批准書を寄託しようと至ったのには、市民社会の積極的な働きかけがあった。批准を決めかねていた各国に、各国の支部が働きかけ、最終的に批准日のシンクロを起こさせたのである。そして、国連もこの働きかかけを認め、この日批准する10カ国全てを、60ヶ国目として扱うことにした。つまり、本来は4カ国で発効が成立し残りの6ヶ国は60ヶ国国目からはあぶれる筈だったのを、粋な計らいで60ヶ国目として計上したのである。これにより、6ヶ国すべてが、60番目の批准国という名誉を手にすることができたのである。条約の世界も、全てが四角四面ではないという好例だ。無論、この6ヶ国には法的には何も特別な資格は付与されていない。
こうした記念すべきイベントを経て、2002年7月1日、規定に基づき60日後の1日にローマ規程は発効。史上初の常設の国際刑事裁判所設立条約がここに成立した。
5周年目となる今月半ば、日本政府は5年前の10ヶ国同様、ニューヨークの国連本部で批准書寄託を行い、そのための記念式典を予定している。7月17日には、ローマ規程が採択された「国際司法の日」(World Day of Justice)を迎えるが、日本の批准はピッタリとその日に落ち着くかもしれないという予測もある。
たしかに「国際司法の日」は歴史的に意味のある日である。全世界から159ヶ国もの国が集まり、そのうち120ヶ国がローマ規程に署名したのである。残念ながらこの中に我が国日本は含まれていないが、実は、規程採択交渉において先導的な役割を果たした立役者でもあったことはあまり知られていない。それでも、日本は当時の時代背景などの諸事情により、署名ができなかった。関係者は会場で断腸の思いだったことだろう。
ローマ規程の署名は最終的に、署名期限の2000年末までに139ヶ国を数えた。この最後に署名した139ヶ国目が、アメリカ合衆国である。当時のクリントン大統領は、アメリカとしてはICCに賛同できないと考えていた。だが署名国数が急増するにつれ、考えが変わっていった。結果、クリントン大統領は署名期限ぎりぎりの2000年12月31日にローマ規程に署名した。だが2002年の5月、ローマ規程の発効直前に、クリントンの政策を継承したブッシュ政権は、クリントン大統領の最後の勧告をもとに、規程への署名を撤回するという、歴史上稀な行動にでる。この行動は1ヶ月後、盟友イスラエルによって模倣される。これにより、ローマ規程の実質の署名国は、公式記録上の139ヶ国ではなく、137ヶ国となる。
あれから5年が経過し、日本はまさに今年、ICCに加盟しようとしている。
歴史的に、様々な紆余曲折を経ながらも、105ヶ国の加盟を集め、いま日本を迎え入れようとしているICC。
その発効5周年目となる今年2007年に加盟する国の国民であることを、誇りに思う。
2007年7月1日
ローマ規程発効5周年にあたって
Peace For Action!(^o^y
JNICC勝見