国際刑事裁判所(ICC)と日本 [はてな版]

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報告:WCRP日本委員会主催『イスラーム指導者会議』が残した形ある成果

すべてのムスリムと非ムスリムに向けた「イスラームのメッセージ」を採択

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(写真:WCRP日本委員会・立正佼成会

2010年9月25日

9月20日から22日の3日間、京都市内のホテルで世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会主催で、イスラーム諸国から宗教指導者を招いたイスラーム指導者会議』が開催された。

この会議は、昨年11月に東京で開催された
『アフガニスタンの和解と平和に関する円卓会議~~「支えあう安全保障 (Shared Security)」をめざして~』のフォローアップ会議として、同会議で採択された、イスラム諸国の役割」と題された次の提言に基づいて企画された。

アフガニスタンにおける平和と和解を推し進めるため、世界宗教者平和会議(WCRP)を推進役に、著名なイスラム法学者を召集して正しきイスラムのあり方について教えを広めることを提案する。
前回に引き続き『WCRP40周年記念事業』の一環として行われた今回の会議では、参加者の安全確保と自由闊達な討論が行える場を提供するという前回会議の精神を引き継ぎ、チャタムハウスルールが適用され原則非公開で行われた。

会議には、アフガニスタンおよび世界各地の和解と平和を切望し、平和と共存のためのイスラームのメッセージを伝える」(声明より)ために、エジプト、インドネシア、イラン、イラク、日本、パキスタンパレスチナサウジアラビア、トルコのイスラーム指導者および専門家を招いて活発な討論が行なわれ、ここで得られた洞察を提言としてまとめ記者発表が行われた。

残念ながら、当事国アフガニスタンからの参加は、参加者の都合がつかず実現しなかった。

この非公開会議での成果は、翌23日に開催された公開シンポジウム「日本の宗教とイスラームの対話」の場で、会議の代表者らにより説明された。

公開シンポジウムには、日本の宗教界からは全日本仏教会戸松義晴事務総長皇學館大学福祉学部教授で神道を研究されている櫻井治男、そしてモデレータとしてWCRP日本委員会平和研究所眞田芳憲所長の3名が、イスラーム宗教指導者の代表団として、アジア宗教者平和会議のディン・シャムスディーン(Dr. Din Syamusddin)実務議長(インドネシア)、イラン・イスラム共和国文化コミュニケーション・イスラーム宗教間対話センターのムハンマドフセイン・ムザッファーリ(Dr. Mohammad Hossein Mozzafari)所長(イラン)の2名が出席。パネルディスカッションでは、それぞれの観点から平和、非暴力、共存とは何であるかを説いた。

最後の部では非公開会議に参加した出席者らも含めた会場全員参加でフロアーディスカッションが行われ、自由な議論が行われた。質問者の中には、現在まさに緊迫する日中関係の中で、「非寛容な姿勢を示す者に対して、私たち寛容を心がけようとする人間はどのように対応すればよのか。」というタイムリーな質問をした者もいた。指導者らはそれぞれ、次のように応えた。

シャムスディーン議長 
「積極的平和を心がける人々がはるかに多いといことを見せてやればいい。彼らを無視することも可能だが、積極的平和を心がけるなら、面と向かって平和を説くべきである」

ムザッファーリ所長 
「個人の場合は慈悲の心で接するべきだが、社会秩序を乱すような輩にはそれは通用しない。社会的権利により裁判を行うこともできるが、慈悲の精神を選ぶこともできる。そのような場合、神の子である我々は慈悲の心を選ぶべきだと思う」

櫻井教授 
神道では“ときふせる”という行動はとらない。どうしたら交流できるかに心をくだく」

戸松事務総長 
「相手の立場になって考えると、私も憤慨して同じ行動をとっていたかもしれない。“まずは考えるのやめてお茶でもゆっくり飲んでみましょう”と、怒りの感情から離れていただく。冷静な対応が“寛容”なのか。そこを見つめる必要がある。中国人は日本人よりセンシティブかもしれない。そうやって相手の立場になって考えるのが大事である」
まさに全参加者によって「寛容の精神」をまほろばの地京都で体現した会議だった。

非公開会議で採択されたメッセージの各国正文、および各社報道は次の通り。



○報道発表(メッセージ本文)
○各社報道(Web魚拓)