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【国連議員総会】設立運動会議が『ブエノスアイレス宣言』を採択

会議参加者全員による集合写真(写真提供:Democracia Global)

設立運動会議、議員総会設立に関する政府間会議の招集を提唱

「国連及びその加盟国は、国連における議員総会設立に向けた政府間会議を行う準備を開始するべき」

アルゼンチンの首都ブエノスアイレスの連邦上院議会で開催された国連議員総会設立運動Campaign for the Establishment of a United Nations Parliamentary Assembly: CEUNPA)の四回目となる国際全体会議では、このような文言が含まれる宣言書(英文)が採択された。(和訳

世界20か国から50人の参加者(内20名は各国市民社会の代表、10名は現役の中南米議員)が集まったこの会議では、「グローバル・ガヴァナンス(国際社会の統治)の民主化は最大の政治的課題である」として、個々の世界市民、そしてとくにドナー各国の議員、政府に対して、地球規模の民主的変化を目指したコミットメントを求めた。

開会挨拶に立ったホスト国アルゼンチン議会のフェルナンド・イグレシアス(Fernando Iglesias下院議員は、国連議員総会(通称「UNPA」)を通じた地球規模の民主化の必要性を強調した。またゲストとして招かれたフランス経済協力欧州連盟会長のオリヴィエ・ジスカール・デスタン(Olivier Giscard d’Estaing元仏議員は、これまで本質的な国連改革が実現されなかったことに遺憾の意を表し、「世界規模の問題に取り組む世界議会を含む世界規模の機構の創設が必要である」と呼びかけた。

世界連邦運動世界政策研究所(World Federalist Movement-Institute for Global Policy: WFM-IGP)のウィリアム・ペイス(William Pace)専務理事は、G8やG20などの非公式なガヴァナンス機構は「まったくの失敗だった」として、痛烈な批判を展開。「私達の目標は、野蛮な帝国主義を地球規模の立憲主義と議会制に基づく統治へと置き換えることにある」と述べた。

マルタ共和国ルフレッド・サント(Alfred Sant元首相は会議に寄せた書簡で、「国連議員総会を設置するという目標は、遠大なものと感じられるかもしれないが、世界の激動があまりにも激しく、議員総会の必要性に対する認識は想像以上に顕著なものとなるやもしれない」と楽観的な展望を述べた。

運動の議員顧問団共同代表を務める欧州議会ジョー・ライネン(Jo Leinen議員も書簡を寄せ、国連議員総会の設置を求めるこの提案は、「有志国政府により検討される段階に至った」とした。

午前の全体会議では採択される成果文書についての議論や各団体の活動報告が行われ、午後の分科会では全アフリカ議会補佐官を務めたウェルンガ・ムルンバ(Werunga Murumba氏による国際議会の創設に至る経緯と教訓の共有や、ラテンアメリカ地域における運動の展開、国連憲章の改正を通じた国連議員総会の設立手順などが協議された。

午後の分科会で結果報告を行う筆者(写真提供:Sureyya Tancel)

CEUNPAの会議は、ラテンアメリカ議会主催のセミナーを含む10日間のプログラムの一環として行われた。全体の行事は、現地NGODemocracia Global(グローバル民主化運動)によって主催された。



「国連議員総会設立運動(CEUNPA)」とは
正式名称Campaign for the Establishment of a UN Parliamentary Assembly。現在の国連総会に対する諮問的役割を担う新しい国民代表機関の設立を目指す国際運動。設立の初段階では各国の議員によって構成され、段階的に国連や関連諸機関における情報へのアクセス、参加、および統制を可能にする権限を付与していくことが想定されている。最終的には、同機構への直接選出を可能にする直接選挙制の導入を目指す運動で、世界連邦運動ドイツ支部が事務局を務めるKDU(国連民主化委員会)の主導で2007年4月に活動開始。2008年に共同アピールを発表。2010年までに90ヵ国以上から約900人の現役議員(750人が現在も現役)の賛同を得る。

WFMジャパンはオブザーバーとして2008年からブリュッセルにおける執行委員会に参加。2009年からはニューヨーク全体会合に出席し、今回のブエノスアイレス全体会合にも出席している。

翻訳・改編:世界連邦運動協会 勝見