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声明:「平和と共存のためのイスラームのメッセージ」(日本語正文)

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平和と共存のためのイスラームのメッセージ
 
2010921
京都
 
我々、エジプト、インドネシア、イラン、イラク、日本、パキスタンパレスチナサウジアラビア、トルコのイスラーム指導者および学者は、日本の宗教指導者および学者と共に、アフガニスタンおよび世界各地の和解と平和を切望し、平和と共存のためのイスラームのメッセージを伝えるために、日本の古都、京都に参集した。
 
20091123日から25日、東京において「アフガニスタンの和解と平和に関する円卓会議~『支え合う安全保障(Shared Security)』をめざして~」が開催された。この会議において、世界宗教者平和会議日本委員会が中心となり、著名なイスラーム指導者および学者を招聘し、平和と共存のためのイスラームのメッセージを再度、表明するよう提言された。この度のイスラーム指導者会議は、この提言を受けて開催されたものである。
 
我々は、イスラームが全人類のための平和と慈悲の宗教であることを確信する。イスラームは、生命の神聖と人間に内在する尊厳を尊重する。これは、人種・肌の色・言語・宗教の違いを区別しないあらゆる人権の基盤となるものである。イスラームは、人類が様々な種族と部族に分けられたのは兄弟愛に基づいて互いによく知りあうためであることを根本原理として教えている。
 
我々は、イスラームが真理と正義に基づく寛容・中庸・人類家族の一体性を推し進めるものであることを信ずる。イスラームムスリムの間だけではなく、異なる信仰をもつ人々との普遍的な兄弟愛と連帯を重視する。さらにまた、イスラームは自然と環境との調和を要求するものであることを認識する。
 
我々は、ジハードがイスラ-ムの重要な教えの一つであり、それゆえジハードは、イスラームの教えの総合的な文脈の中で理解されなければならないものと確認する。そしてその教えは、真理と正義に基づいて他者との平和的関係の確立にむけてムスリムを導くものである。大ジハードは、まさしく、創造主の御心に従って自己を変革し、創造主がお創りになられたもののさらなる向上のために、そしてまた公正、かつ豊かで、平和な社会の発展のために奮闘努力することである。一方、小ジハードは、イスラーム法に基づいた自己防衛を目的とするものであり、さらに他者に対する侵略戦争、あるいは自爆行為を含む、いかなる手段によるものであれ、無辜 ( むこ )の人々を殺すことを許すものではない。
 
我々は、人民の自決権を信ずるものである。そして、占領は抑圧と暴力の源泉であると考える。それゆえ、我々はパレスチナ等を含む、世界のいかなる場所であれ、占領の終結を求めるものである。
 
イスラームは、人間と社会の安全と福祉を保護し、これに危害を加える一切の行為、例えば不法の薬物の栽培・取引・使用等を禁止する。
 
我々は、イスラ-ムの教えがイスラ-ム社会の内部における誤った解釈を通して、そしてまた非イスラーム社会における誤った理解を通して悪用されていることを認識する。このことは、無知、あるいはまた、憎悪・差別・不正義・不寛容を広める利己主義に基づく、政治的・社会的・経済的目的の追求から生じる。我々は、メディアがテロリズムの報道にあたって慎重であること、そしてまた、イスラームを含め宗教とテロリズムとを結び付けないよう要請する。
 
市民的および政治的権利に関する国際規約第20条に基づき、我々はすべての国家に対し、宗教的および人種的憎悪から市民を保護する責任を果たす措置をとるよう要求する。これには、聖典を冒涜すること――例えば、聖クルアーンの焼却――、および、ムスリムが非イスラーム世界において彼らが持つ価値・信条・外観のゆえに差別されることが含まれる。表現の自由には、他者の感情に対して敬意を表するものである。
 
最後に、我々は、本会議の主催者、世界宗教者平和会議日本委員会に対し、心のこもった歓待をしてくれたこと、および平和・正義・支えあう安全保障のために共働してくれたことを高く評価し、深く感謝の意を表するものである。
 
全能なる神よ、私たちを正しい道へ導きたまえ。