我々は勉強会を重ね、ICCが必要との認識で一致した。また、手続法のみで足り、実体法の整備は不要ということで議員の側は大体コンセンサスを得ているが、この点を省庁さんに確かめたい。外務省から概算要求が出されるところまで進んだ。そして2007年にはICCに加盟するという方針で努力したい。
荒木清寛(公明・委員長)の挨拶
公明党は早い段階でICC加盟をマニフェストに入れ、小委員会をつくって活動してきた。いよいよ加盟の機運が高まった。ICCにより暴力と復讐の連鎖を断ちたい。来年の通常国会での加盟を目指して頑張りたい。日本がICCに加盟し、優秀な日本人を判事として送り込めるようにしたい。
公明・委員会事務局長で前外務大臣政務官の遠山清彦氏から、ICC設立までの歴史の説明があり、更に5月11日の自公合同勉強会を経て6月6日にICC早期加盟を求めて総理官邸(官房副長官が対応)および財務・外務・法務・防衛の4省庁(大臣が直接対応)に要請文を渡したことなどの報告があった。また、2009年にICC裁判官の選挙とICC規定見直し会合があることから、2007年に日本が加盟することを目指すことには大きな意味があることにも触れた。
各省庁の現状に対する見解
6月6日に要請文を受け取り、外務省は予算の概算要求において重点要求として19.8億(半年分)を要求した。概算要求したということは加盟への強い意志を表したものだ。法律の整備については、 ①犯罪人の逮捕・引き渡し、証拠の提供など、捜査・訴追に対する一般的協力 ②偽証、証言妨害等の処罰についての手続法を中心に検討を進めている。 ③実体法についてはほとんどのものが現行国内法で処罰可能であり、改めての立法は不要と考えるが我々役人はありとあらゆる場合を考えるので、100%とまでは言えない状況である。
国内法で処罰しうるものは国内で処罰し、もし、法の隙間があればICCの引き渡しに協力する。隙間はほとんど想定できないが、これで良いか検討中。また、ICCでは国内法とくらべ、法務大臣の裁量がほとんどないが、ここをどう考えるかも検討中。
防衛庁人事教育局補任課の中村範明課長
内閣法制局の赤松秀一参事官
国民の権利義務に直接関わることであるので、憲法・国内法との整合性をよく見極める必要がある。
質疑応答でのコメント
保岡興治氏役所で問題を抱え込もうとせず、政治決断・政治判断が必要な局面ではぜひ我々に相談してほしい。
高村正彦氏
ICCに限らず条約一般の話だが、日本は、国内法を完璧に整備してから条約に加盟している。まじめでまことに結構、と言いたいが『過ぎたるはなお及ばざるが如し』という面もある。現実に起こりそうもない抽象論・観念論を続けて中々条約に入らないということで国際的に良いのだろうか。外務省・法務省は大体腹を固めたようだが、防衛庁や内閣法制局も、あまりに完璧を期して、諸外国から『なんで日本は入らないの』と言われることのマイナスも考えてほしい。
森山眞弓氏
今年12月4・5日にPGAの世界大会が日本で行われ、ICCが主たるテーマになっている。本日お集まりの先生方にも御参加いただきたいが、その時にぜひ、日本も間もなく入るという前向きな話しができるようにしたい。
山内康一氏
予算だけではなく、人の面も大事。日本による国際的支援は、予算を出しても人をあまり出さず、貢献が伝わりにくい。ICCには裁判官だけでなく、技術者など、いろいろ日本から志願者を派遣すべきである。
現在はICCに2名、ICTYに4名の日本人が技術職員として派遣されている。
構成:JNICC 勝見