国際刑事裁判所(ICC)と日本 [はてな版]

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第2回「自民・公明ICC合同勉強」報告(2006.10.11)

自民党のICC議員連盟(以下自民・議連)と公明党のICC早期加盟を目指す小委員会(以下公明・委員会)の合同勉強会が10月11日(水)午後4時より衆議院第1議員会館第2会議室で行われた。本人出席20名、代理出席21名。柴山昌彦(自民・議連事務局長)の司会で開会。(出席者名簿

 

高村正彦(自民・議連会長)の挨拶

我々は勉強会を重ね、ICCが必要との認識で一致した。また、手続法のみで足り、実体法の整備は不要ということで議員の側は大体コンセンサスを得ているが、この点を省庁さんに確かめたい。外務省から概算要求が出されるところまで進んだ。そして2007年にはICCに加盟するという方針で努力したい。

荒木清寛(公明・委員長)の挨拶

公明党は早い段階でICC加盟をマニフェストに入れ、小委員会をつくって活動してきた。いよいよ加盟の機運が高まった。ICCにより暴力と復讐の連鎖を断ちたい。来年の通常国会での加盟を目指して頑張りたい。日本がICCに加盟し、優秀な日本人を判事として送り込めるようにしたい。

 公明・委員会事務局長で前外務大臣政務官遠山清彦から、ICC設立までの歴史の説明があり、更に5月11日の自公合同勉強会を経て6月6日にICC早期加盟を求めて総理官邸(官房副長官が対応)および財務・外務・法務・防衛の4省庁(大臣が直接対応)に要請文を渡したことなどの報告があった。また、2009年にICC裁判官の選挙とICC規定見直し会合があることから、2007年に日本が加盟することを目指すことには大きな意味があることにも触れた。

 更に遠山氏は、ICCにアメリカが加盟していないこともあり、日本のICC予算分担率が、全体の30%(昨年ICC全体で約110億円かかったことを考えると30億円以上)にもなってしまうことについて意見を表明。国連の分担金の場合は22%というシーリング(上限)があるが、ICCにも同様に22%のシーリングを適用してほしい、機械的に30%とすべきではないと主張した。このシーリング適用を求めるべき、という意見には、出席議員からも賛同の声が相次いだ。
 また、柴山昌彦は、オランダのハーグでICCのキルシュ所長に会い、監査をしっかりやってほしいと述べたことを報告。ICTY(旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所)では判事の給与が高い割に裁判があまり進んでいないが、日本が国民の税金から多額の予算を出す以上、その使われ方についてもしっかり監査する必要があると述べた。

各省庁の現状に対する見解

外務省国際法局の猪俣弘司審議官
6月6日に要請文を受け取り、外務省は予算の概算要求において重点要求として19.8億(半年分)を要求した。概算要求したということは加盟への強い意志を表したものだ。法律の整備については、 ①犯罪人の逮捕・引き渡し、証拠の提供など、捜査・訴追に対する一般的協力 ②偽証、証言妨害等の処罰についての手続法を中心に検討を進めている。 ③実体法についてはほとんどのものが現行国内法で処罰可能であり、改めての立法は不要と考えるが我々役人はありとあらゆる場合を考えるので、100%とまでは言えない状況である。
法務省刑事局国際課の瀬戸毅国際刑事企画官
国内法で処罰しうるものは国内で処罰し、もし、法の隙間があればICCの引き渡しに協力する。隙間はほとんど想定できないが、これで良いか検討中。また、ICCでは国内法とくらべ、法務大臣の裁量がほとんどないが、ここをどう考えるかも検討中。

防衛庁人事教育局補任課の中村範明課長

防衛庁としては正当な職務を行っている自衛官が引き渡されることがないようにお願いしたい。

内閣法制局赤松秀一参事官

国民の権利義務に直接関わることであるので、憲法・国内法との整合性をよく見極める必要がある。

質疑応答でのコメント

保岡興治

役所で問題を抱え込もうとせず、政治決断・政治判断が必要な局面ではぜひ我々に相談してほしい。

高村正彦

ICCに限らず条約一般の話だが、日本は、国内法を完璧に整備してから条約に加盟している。まじめでまことに結構、と言いたいが『過ぎたるはなお及ばざるが如し』という面もある。現実に起こりそうもない抽象論・観念論を続けて中々条約に入らないということで国際的に良いのだろうか。外務省・法務省は大体腹を固めたようだが、防衛庁内閣法制局も、あまりに完璧を期して、諸外国から『なんで日本は入らないの』と言われることのマイナスも考えてほしい。

森山眞弓

今年12月4・5日にPGAの世界大会が日本で行われ、ICCが主たるテーマになっている。本日お集まりの先生方にも御参加いただきたいが、その時にぜひ、日本も間もなく入るという前向きな話しができるようにしたい。

山内康一

予算だけではなく、人の面も大事。日本による国際的支援は、予算を出しても人をあまり出さず、貢献が伝わりにくい。ICCには裁判官だけでなく、技術者など、いろいろ日本から志願者を派遣すべきである。

※これに対する外務省の回答
現在はICCに2名、ICTYに4名の日本人が技術職員として派遣されている。

 

 活発な意見が交わされた後、閉会となった。 

 

文責:世界連邦国会委員会 塩浜
構成:JNICC 勝見