国際刑事裁判所(ICC)と日本 [はてな版]

人間の安全保障の発展に貢献する日本と世界の道筋と行く末を見つめます。

公開資料:民主党アフガン対策案概念図I(用語編II)7~10

民主党アフガン対策案概念図I(用語編II)

7. GOLIAG
GOLIAG(Government-Linked Illegal Armed Groups政府系非合法武装集団)はDIAG同様、非合法武装集団の武装解除プログラムを意味するのだが、この場合は「政府系」なのが特徴。すなわち警察を司る内務省や司法省の役人自身がGOLIAGの当事者。これは、2001年のボン合意タリバン以外の武装集団総てが和平合意に達し、それぞれ過去の立場に関係なく政府の要職に就いたことに起因する。非合法集団に属していた人間が現職のまま警察や司法の仕事に就いたらどうなるか、結果は明白だった。アフガンでの取り組みで最も必要とされているのが、この警察・司法改革=内務省改革だが、諸悪の根源の行政改革を行わずに武装集団の武装解除だけを行っていても問題は解決しないため、ドナー国がその権限をフルに生かしてアフガン政府に圧力をかける必要があると考えられている。

8. SSR
SSRSecurity Sector Reform治安分野改革)は、2002年4月のG8合意を受けてアフガンで取り組むことが決められた治安分野支援の総称。アフガン固有の名称ではなく、他の国連活動でも用いられる用語。紛争後の国家において、国際社会が復興開発支援を行うためには、土台となる治安の問題が鍵になる。しかし、紛争終結直後の国家には独力で治安の回復に取り組むことが難しいため、復興支援の一環として国際社会が治安分野にまたがる様々な構成要素に取り組み、治安の安定化を持続させる。アフガンの場合は、まず(1)旧国軍の武装解除DDR)が課題となり、次に(2)新国軍の創設、(3)警察の再建、(4)司法の成立、そして(5)麻薬経済の撲滅が挙げられる。これらが五味一体となって機能して初めて、開発支援を行うための安定した土台ができあがる。ISAF国際治安支援部隊)の任務の1つは、このSSRの完遂を支援することでもある。

※詳細はWikipedia日本アフガンネットワーク公式サイトを参照

9. MHS
MHS(Ministry of Human Security人間の安全保障省)は、犬塚事務所独自の提案で、アフガン問題に直接寄与はしないが日本の中長期的政策課題に資する将来展望として考えられている。基本的に、自衛権行使などによる武力行使防衛省管轄、その他国連の集団安全保障措置に基づく活動は軍事・非軍事を含めてMHSが一手に担うという構想。民軍関係からSSR、復興開発支援、人材育成まで幅広い知見と専門性が必要とされるため、防衛省、外務省、新JICA、警察庁法務省から要員を募る横断的な統合省の創設を提案している。また民間のシンクタンク有識者市民社会との連携も重要視され、自衛官・民間派遣者を問わず国際平和活動に従事する人間の帰国後のキャリアパスを確保して国内外の人材プールを構築することを目的とする。

「人間の安全保障センター」に関するブログ内記事を参照

10. HS
HS(Humanitarian Space人道的空間)は、紛争地などで復興開発支援などを行ううえで、活動要員の安全の確保のために必要とされる空間のことをいう。紛争直後は現地での治安状況が安定しないため、国連やNGOなどの要員は常に危険にさらされる中で活動をすることになる。このリスクを限りなく低減して要員が安全に活動をできる空間を確保するのが、本来はPKO(平和維持活動)やPRT(地方復興チーム)の仕事である。単純な武力行使ではHSは確保できず、SSR(治安分野)を含む包括的な取組みがあって初めてHSは実現する。ISAFなど「治安維持支援」業務に携わる部隊の本来業務は、このHSを確保することにある。

※より正確な説明は国連フォーラム勉強会の『平和構築における民軍関係』「(3)人道的空間」を参照