国際刑事裁判所(ICC)と日本 [はてな版]

人間の安全保障の発展に貢献する日本と世界の道筋と行く末を見つめます。

国連:安保理、武力紛争時の文民保護義務に関する公開協議を実施

国際NGO連合(CICC)の法務担当者から速報が届きました。

現地時間の28日、国連の安全保障理事会にて、武力紛争時における文民の保護義務について公開協議が行われるとのことです。協議はヤン・イゲーラン国連人道担当事務次長のブリーフィングが行われた後に開始される予定で、その内容は、2006年4月28日に採択された安保理決議1674号の施行に関し、とくに国連平和維持活動(PKO)における行動規則等について協議するものです。

安保理では、アナン事務総長による2002年11月26日の勧告に基づき文民の保護責任に関する協議を6か月毎に行うことの必要性を、2002年12月の議長声明で認めています。決議1674号では、一部の理事国の反対により、国際刑事裁判所ICC)に関する記述が、一般的な国際刑事法廷や戦犯法廷の総称としての表現に書き換えられました。この決議が見直される予定は現在のところありません。

「保護する責任(responsibility to protect)」は、国連改革案の提案時にも高級パネルによって導入が奨励された概念で、日本が提唱する「人間の安全保障」構想とも合致する、来るべきコモンセンスとして注目されている概念です。安保理はこの概念をより具体的に国連の平和維持活動に取り入れるべく決議1674号を採択しました。この動きは国際法の実効性をより高め、諸人権保護条約の法体系化を促進するものとして注目されています。

安保理で公開協議されるということは、この案件について理事国以外の総会の加盟国すべてが任意で参加し、建設的意見を述べ、後続の協議に対する影響を及ぼせることを意味します。かつて国連平和維持活動関係者をICCの管轄外に置くという決議がなされたときも、多くの国が公開協議に参加して忌憚のない意見を述べ、その結果として、不名誉なPKO免責決議は翌年には更新されず、廃案となったという背景があるだけに、今回の公開協議でも、一般加盟国が今後の協議にどのような影響を及ぼすかが注目されるところです。

原文
The Security Council will hold an open debate on Wednesday, 28 June 2006 on the protection of civilians in armed conflict. The debate will follow a briefing by the Under Secretary-General for Humanitarian Affairs, Jan Egeland. The theme of the debate will be the implementation of Resolution 1674 of 28 April 2006, particularly in the context of drafting mandates for peacekeeping operations.

The Security Council, in Presidential statement in December 2002, recognized the value of focusing on the issue every six months based on the recommendations from the Secretary-General's report from 26 November 2002. In the last resolution, the provision on the ICC was replaced with a general reference to international and mixed criminal courts and tribunals due to opposition by some Security Council members. Council members are not expected to negotiate a new resolution. 

Wasana Punyasena

Legal Officer

Coalition for the International Criminal Court