国際刑事裁判所(ICC)と日本 [はてな版]

人間の安全保障の発展に貢献する日本と世界の道筋と行く末を見つめます。

【続報】フィリピン:現地同志から返信!─訳文(2006.02.27)

お待たせしました。現地フィリピンのCICC関係者から貰った返信の訳文です。
新聞で報道されないフィリピンの生の現状が伝われるかと思います。

以下がその訳文です。

○○さんへ

心配してくれて本当にありがとう。こちらの状況はかなり緊迫しています。

フィリピンの市民社会は、一部で「宮廷の偽善者」とも呼ばれているアロヨ大統領の打倒に燃えており、軍部も同じ方向に向かって動いています。ただし、関係各グループが大統領打倒後に想定している行動については、大きな違いがあります。

(大統領の打倒を目指す)抗議行動は昨年、選挙中の不正や公的資金の横領などが明らかになったことががきっかけで始まりました。この公的資金は農地改革や、(今国会で法案が通れば)戒厳令下の人権侵害被害者の補償に充てられるためのものでした。これらの問題だけでも大統領を弾劾するのには十分なのですが、大統領が議会を掌握しているため、これまで弾劾に至ることはありませんでした。しかし、アロヨ大統領の問題はこれだけではないのです。

最も重大な問題は、アロヨ政権の対外累積債務が、前アキノ、ラモス、エストラーダ、マルコス政権の全ての債務を合わせたものより多いことです。そのうち不正な債務がどれほどかの試算はとれていないのですが、数十億ペソ規模の公的事業が腐敗にまみれていることだけはわかっています。また、彼女の政権が貧しい々をさらに貧しくする逆進税(訳注:所得が上昇すると平均税率が低下する税)の導入や、公共事業の民営化などの経済政策を促進していることも問題視されています。

PCICC(フィリピンCICC)では、悪化する人権状況についても懸念を募らせています。

実はPCICCの前回会合で、アロヨがローマ規程の批准を渋っているのは、軍によって実際に行われたとされる戦争犯罪や人道に対する罪について訴追されることを恐れているからだ、という話が出てきたのです。軍の最高司令官であるアロヨは、軍によって行われた犯罪の全容を把握しています。にもかかわらずアロヨは、その犯罪の容疑がかかっている人物を昇進させているのです。

24日(金曜)に行われた大規模集会では、その主催者たちが一時的に逮捕されましたがすぐに釈放されました(実は私もこの集会と夜を徹した監視に参加していましたが、散会を強制されずに済みました)。

戒厳令がどういうものか身に染みてわかっている私たちが懸念するのは、政府が行った一部新聞社の接収にまつわる事実です。他の通信社もいずれ接収されるのではないと噂されています。

20年前に勝ち取った自由を、私たちは守りきらなければなりません。

以下は、PCICCも加盟しているフィリピン人権擁護者連合(PAHRA)(Philippine Alliance of Human Rights Advocates:PAHRA)による、アロヨ政権の非常事態宣言に対する声明のコピーです。アロヨ政権側は、事態を完全に掌握していると主張しています(訳注:が、実際はそうでないことがこの声明からわかります)。詳細は、http://www.igma.tvを参照してください。このサイトのニュースの部で、非常事態宣言についての特集が組まれています。

いまお伝えできるのはこれくらいですが、状況に変化があれば随時報告します。

マブヘイ!

(訳注:フィリピンのタガログ語で「乾杯」の意味、この場合は「民主主義に乾杯」、「自由に乾杯」とか「運動関係者に乾杯」という意味が込められていると思われます。私自作の「行動する者にピースを!」に通じるところがあるこの言葉は、フィリピンCICCおよびアジア全体のNGO関係者の間で1つの掛け声みたいになっています)

XXXXXXXX