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【和訳】「非常事態宣言に関するフィリピン人権擁護者連合の声明文」(2006.02.24)

政府宣言1017号にノーを!

2005年2月24日

フェルディナンド・マルコスの圧制を終わらせたピープルパワー革命の20周年を祝うこの日、マラカナンの強奪者により国家非常事態宣言が出されたことは皮肉であるというほかありません。グロリア・マカパガル・アロヨが発令した政府宣言1017号は、1972年にフィリピン全土を戒厳令下に陥らせた政府宣言1081号と驚くほど似ています。

宣言1017号の適用範囲とその限度に関する指針については未だ明らかになっていいませんが、我々は人権擁護団体として、この宣言がなされた政治上の背景とそのタイミングについて懸念を表明せざるを得ません。

アロヨ政権はこの宣言がなされる前から、既に合法的な反対者たちに対する取締りを強化していました。議会での弾劾審議での敗北や、アロヨの退陣を求める抗議行動を受け、アロヨ政権はこれらの動きをけん制するために事前対応政策とEO464を発令したのです。これらの政策はいずれも憲法によって保証された表現の自由や集会の自由を制限するものでした。

そして今、宣言1017号の発令により、我が国は事実上、武力と暴力、そして欺瞞に塗れた戒厳令下に入りつつあります。実際、今回の発令は憲法に違反しており違法です。なぜなら、憲法第7条18項は「戒厳令」の発令は認めているが、「国家非常事態宣言」の発令は認めていないからです。しかし「戒厳令」を直接発令するには議会の承認が必要であり、更なる反発を招く恐れがあるため、アロヨはこれを熟知した上で都合が悪くなることを回避するために司法を捻じ曲げ、議会承認を必要としないそれに(非常事態宣言という)新たな名前を与えたのです。

アロヨの宣言1017号とマルコスの宣言1081は不気味なほど似ています。

まず、両大統領は「共和国に対する脅威が存在する」という前提のもとで宣言を行っています。マルコスの場合は、「共産主義者の脅威」であり、アロヨの場合は共産主義」と「右翼勢力」の合わさったものでした。また、両大統領はその証拠を示す事件を例にとって宣言を行っています。マルコスの場合は、エンリル国防相に対する奇襲がそれで、アロヨの場合はダニーロ・リム准将によるクーデターの可能性がそうでした。

アロヨが宣言1017で行おうとしてるのはマルコスと同じこと─すなわち、権力の保持にほかななりません。

政府は、1017宣言が発令されても何も恐れることはないと説き、公民権や政治的権利が損なわれることはないと国民を説得しています。しかし本日の深夜の段階で、デイリー・トリビューン紙の事務所が強襲され、責任者のLabanng Masa氏やUP社元社長のKa Dodong Nemenzo氏などが起訴される事態が既に発生しています。また抗議運動の参加者たちが強制的に散会させられたのはつい昨日の話であり、戒厳令下のときの服装に酷似した白い私服に身を包んだ情報局の工作員により恣意的な逮捕が行われていました。

そこで我々は市民に警戒を呼びかけます。そして、いかなる圧制や抑圧にも立ち向かうことを求めたいのです。我々はいまある自由を二度と再び手放してはならないのです。我々がこの状況から解放されるか、救われるかは、我々自身の手にかかっているのです。主張を固持し、苦難に立ち向かうしか我々には手立てがないのです。

国家が改革のために必要なあらゆる平和的なプロセスを放棄するのであれば、国民はこれに対し、国連人権宣言の前文により保証された反乱の権利を行使するほかないのです。

フィリピン人権擁護者連合(PAHRA)