22日付けの米ワシントンタイムズ紙(AP経由)によると、1990年代初期、当時のユーゴスラビアで起きた内戦のボスニア紛争で集団虐殺および人道に対する罪を犯したとされ指名手配されていたRatko Mladic(ラトコ=ムラディッチ)将軍が居場所を特定され、現在引渡しを交渉中とのことです。しかしどうやら情報は錯綜しており、事実確認はとれていないのが現状のようです。
一方、私営のベータ通信(URL)によれば、ムラディッチ将軍はベルグラードから東に60マイルほど離れたチェル山で居場所を捕捉されたそうですが、ワシントンはこの情報を確認していないとのことで、各社による報道の真偽はまだ定かではありません。
ムラディッチ将軍は第二次世界大戦以降最も残虐とされる8,000人のイスラム教徒の大量虐殺事件、いわゆる「スレブレニツァの大虐殺」(参考)の首謀者とされており、1992~1996年の4年間の間に行われた15件の大量殺害の罪、戦争犯罪、および人道に対する罪の罪状で国連が設置した特別戦犯法廷である旧ユーゴ国際刑事裁判所より指名手配されています。
当初は元同胞であるムラディッチ将軍を差し出すのに消極的だったセルビア政府は、NATO(北大西洋条約機構)との協力関係の構築やEU(欧州連合)への加入を控え、欧州との関係を悪化させたくない思惑から、必死にムラディッチ将軍の行方を追っていました。ムラディッチ将軍 の引渡しが今年2月末までに実現しない場合は、拡大EUにセルビアが加入するための協議自体を凍結すると、EU関係者に通達されていたからです。しかし今回の報道については、EU、NATOともにそのような情報は確認していないと断言しています。
旧ユーゴの一連の分裂戦争では、欧米側、セルビア側双方で熾烈な情報戦が行われ、「プロパガンダ戦争」などという言葉まで作られた1つの混沌とした時代でした。その流れは、事実上ユーゴスラビアが分裂していくつもの共和国が誕生した今も依然として変わっていないようです。
セルビア側の報道、ICTY側(司法当局)の話、EUやNATOの話、そしてワシントンの話から総合できるのは、セルビア側とICTY側を除いた欧米側はすべて「事実を確認していない」と突っぱね、セルビア側や中立である国際司法当局の話を一様に否定しているということです。
紛争中も、セルビア側に有利な情報を流す国家、国際機関などは一様にNATOなどの関係各国によって否定されたものでした。ボスニア紛争終結後10年が過ぎた今も、そうした傾向は変わっていないようです。これでは、実際に逮捕が確認されるまで事の真偽は確かめようがありませんね…。
セルビア側の報道、ICTY側(司法当局)の話、EUやNATOの話、そしてワシントンの話から総合できるのは、セルビア側とICTY側を除いた欧米側はすべて「事実を確認していない」と突っぱね、セルビア側や中立である国際司法当局の話を一様に否定しているということです。
紛争中も、セルビア側に有利な情報を流す国家、国際機関などは一様にNATOなどの関係各国によって否定されたものでした。ボスニア紛争終結後10年が過ぎた今も、そうした傾向は変わっていないようです。これでは、実際に逮捕が確認されるまで事の真偽は確かめようがありませんね…。
続報
(22日)英BBC:「Ratko Mladic 'is still at large'」
(「ムラディッチ容疑者は依然逃亡中」国連(ICTY)の主任検察官)
(22日)米CNN:「 U.N. quashes Mladic capture rumors」
(国連当局、ムラディッチ拘束報道を真っ向から否定)
(22日)英BBC:「Ratko Mladic 'is still at large'」
(「ムラディッチ容疑者は依然逃亡中」国連(ICTY)の主任検察官)
(22日)米CNN:「 U.N. quashes Mladic capture rumors」
(国連当局、ムラディッチ拘束報道を真っ向から否定)