国際刑事裁判所(ICC)と日本 [はてな版]

人間の安全保障の発展に貢献する日本と世界の道筋と行く末を見つめます。

Twitlog:(下)三十五の呟き~140x35の呟き~(2010.03.24)

日本の人たちへ、誇り高きうみんちゅへ


(19) そうなるとモアベターなシナリオは何か。勝連移設で ある。これは、①②の条件さえ満たせば交渉の対象となり、米 側にとっても歓迎すべき内容となっている。だが最もその恩恵を得るのは沖縄県民たちなだ。計11の日米両施設を統合・集約移転することで大規模な削減が可能だからだ。
(20) この集約移転の内容をメディアは詳しく・正しく伝えてないので、その概要をここで初めて明かそうと思う。全て、2009年3月現在の在沖基地の最新統計を 元に弾きだした数字である。尚、このログは後にブログに一挙掲載する予定なので今見逃したとしても心配はない。では概説する。
(21) 勝連案では、まず4つの施設が勝連沖に新設される10,200平方キロの人工島基地に集約される。 4つの基地は、普天間飛行場、牧港補給地区、那覇湾岸施設、那覇基地で、総面積は10,102平方キロ。まさにぴったりと収まる形になる。これが第一段階。 

(22) 第二段階では、キャンプ・コート ニーと、陸自那覇駐屯地が それぞれキャンプ瑞慶覧+嘉手納飛行場、キャンプ・ハンセンへの移転される。ここでコートニーと牧港補給地区、キャンプ瑞慶覧がそもそもグアム移転部隊の所属施設だったことに留意してほしい。 

(23) 勝連案が通れば、この3施設は自動的に空き屋になるので、第二段階までに、勝連集合移転総面積10.102平方+10,501=20,603平方キロが空く。これだけでキャンプ・シュワブの規模に達している。これに更に第三段階が想定されている。

(24) 第三段階では、在沖米軍施設最大規模を誇る北部訓練場、キャン プ・ハンセン、シュワブ、嘉手納飛行場、工兵隊事務所、計5つの施設が自衛隊管理の共同 使用基地となる。この総面積が170,380平方キ ロにも及ぶ。ここで、第三段階までの総面積を合計すると凄い数字が出てくる。 

(25) 在沖米軍施設の総面積は232,933 平方キロ。これに勝連集約移転を行うと、その移転面積は180,063平方キロに及び、総面積の割合として77%が削減さ れることになる。11の米軍施設がすべて自衛隊管理※1)となり返還され、新設される基地は1つ、それも沖合になる。 

(26) この沖合に新設することについて、初案の発案者である
太田沖縄商工会議所名誉会頭は、'99年当時に環境アセスを行い、その時点では環境への影響はないと 判断した。'05年に同案を検討し再評価した大阪大学のエルドリッジ博士も 同様の判断を6たという。無論、リアセスは必須 
(27) 「ワースト」(辺野古)「2ndワースト」「県外)がもたらす結果と比べれば、勝連案はたしかに「モアベター」だ。しかし、米側が提示する①地元の合意が得られるとは考えにくい。それは諸処の理由によるが、勝連 半島沖の津堅島琉球神話の聖地があること、 
(28) 10年前とは違って今はモズクの一大養殖地となり、それが地元勝連の名産ともなっていること。さらに、その近隣ではCTSという石油備蓄基地を巡って決死の抵抗運動が起きた場所でもあり、当時は敢え無く鉄腕の前にひれ伏してしまったという苦く苦しい記憶が宿る場所でもある。 
(29) 沖縄の人々はただ「県内反対」を合唱している訳ではない。対象となる土地その一つ一つに歴史と思い入れがある。抵抗の血が染みこんでいる場所もある。神聖 な場所でもあり、魂の場所でもある。単純な理屈や利点で、彼らを納得させられないのも無理はない。ならば、何が提案できるか。 
(30) 感情と理屈。往々にして相容れない対峙ではあるが、時には感情が正当であったり理屈が正当であったりする。だが問題は何が正当であるか「正しい」かではな く、何が沖縄にとって、人々にとって、子供達にとって「良い」かではないだろうか。だから、全てを承知の上で敢えて問いたい。 
(31) 沖縄の近未来を天秤にかけてください。子供や孫たちそしてその子孫達の未来を天秤にかけてみてください。米軍基地のなくなる日を想像してみてください。そ の新しい世界が、子供たちにやその子孫にもたらす安堵の毎日を想像してみてください。 
(32) それでも、多くの基地を減らす正に千載一遇の機会を得ることよりも、1つの基地を県外に出し、その後あてのない基地削減交渉を、辺野古ですから十余年に及 んだ交渉を、再び繰り返すことを選択するのですか。自分たちの、感情のため?魂のため?うみんちゅの誇りのため?何のため? 
(33) いまいちど沖縄の人々に平常心になって、この問題に正面からぶつかってみてほしいです。私は、私たちの案は、ただ基地を削減するだけでなく、他にも色々な ことを実現するということをアピールしたい、分かって貰いたいとずっと思っていました。
(34) しかし、何よりも大事なのは沖縄の人々が真剣に自分たちの現在と未来、そして子供たちの、孫達の未来と向き合い、それらすべてにとって「ベスト」な選択を 模索し、結論を出すことです。私はその結論を尊重し、いかに私たちの案が理屈的に優れていても、声高にはいわない。 
(35) あなた方の結論が最終的に感情からくるものであれ、さまざまな未来を想像した上でのものであれ、それがあなた方の選択です。そしてその選択をするあなた方 を、私は尊敬します。ご精読ありがとうございました。 

2010.03.24に03:40~6:00位の間に呟いた内容

エピローグ
勝連半島沖集合施設等集約移転構想(「勝連案」)の概要

目的:将来的に在沖米軍施設全てを自衛隊管理※1)のものとして再編し、これらを人道支援・災害救助目的の共同任務部隊による運用のみの為管理・維持することによって日米同盟の深化に資するものとすること。 

手段:自衛隊が管理する勝連の集合基地に11あるうち4つの日米施設の集約移転を行い、行動原則に「保護する責任」を運用し日米両国でこれを法制化した原則に基づく人道・災害支援目的のための共同人道救援任務部隊(HRTF)の本拠地とし、後にこれを国連部隊※2)とする。  
その第一段階として、現在沖米軍施設のうち約77%を削減する
2010.03.25追記
※1 一気に呟いてしまったのでやり直しが利かないのですが、ここでいう「自衛隊管理」とはつまり「日本側の管理」とするということで民間・第三セクターも含まれます。正しくは一部が自衛隊管理、一部は民間企業・自治体など、一部は第三セクターが利用という形で、「全ての施設の返還を目指す」という意味です。語弊があったら申し訳ありません。

※2  国連部隊とする」というのは、はじめは日米同盟下の共同任務部隊とするが、これを既存の国連地位協定条文)の適用で国連施設化し、日米安保ではなく国連憲章下の部隊に改編するということです。尚、この措置は、勝連集合基地のみに適用されます。


補足:これまでTwitter上で行ってきた議論の記録(まとめて見る)―――「勝連移設提案の背景について参議院議員犬塚直史の外交担当秘書と複数の有権者の一問一答のTogtterログ」

(了)

文責:参議院議員犬塚直史事務所・外交政策担当 勝見貴弘 (※当時)