国際刑事裁判所(ICC)と日本 [はてな版]

人間の安全保障の発展に貢献する日本と世界の道筋と行く末を見つめます。

Twitlog:(上)三十五の呟き~140x35の呟き~(2010.03.24)

日本の人たちへ、誇り高きうみんちゅへ

プロローグ
今日も色々な方と普天間問題について語り合った(質問された?)が、得られた感想は政府の発出する情報がメディアなどの媒介を通してフィルタリングされ、正しく一般の人々に届いていないということ。これは、この問題に限ったことではないかもしれないが、この問題においてはこれが極めて重要である。

(1) 政府は極力、グアム移転協定の文書など公開可能な外交文書は公開している。しかし公開している事実を適切に広報していない。そこで「知る者」と「知らぬ者」の間に重大な認識ギャップが生まれ、普天間等極めてデリケートなマターについてはこれが重大な分岐点になる。政府はそれを分かっていない。
(2) だが政府が公開していない事で困るのは沖縄の人々だけではない。政策を作る側の人間の我々も、政府が情報を上手に公開しないことで質問の矢面に立たせられたり、「知る者」としての重責を負わせられたりする。だがそれも国会に勤めるものとしての責務と考えれば受け容れられる。

(3) しかし市井の沖縄の人々は、どこでどう情報を探せばよいかわからず、しかも情報を知らない事でまったく事実と異なる事を事実と誤認して信じこんでしまう人々は、なんと不幸なのだ。そして政府はなぜ意図的にそういう人達を作りだし、無用な怒りや憤りを生産し、建設的な歩み寄りの姿勢を見せないのだ。
(4) ここで、グアム移転協定にまつわり誤解されていることを幾つか、私の知る限りの解釈で説明しておこうと思う。仮にこの深夜(早朝?)のツイートが埋もれたとしても、私自身ふぁぼっておいてまた後で拡散すればよい。
(5) たとえば普天間問題について、政府が公開する情報やメディアの情報を集めて、ヤフーがこんなサイトを提供している。ここは、ユーザーが直接参加して自ら作って行くページ。これが物凄く充実している。 
(6) 私が述べるグアム協定に関する事実も、このサイトから簡単に得られる。このサイト自体「普天間問題」でぐぐればすぐにみつかる。ネットに繋がる環境があれば、すぐに見つけられる。その程度の情報。だがさらにその中身を深く読み込むかどうかで、情報の扱い方に差が出てくる。 
(7) まず、これを公開しておく。グアム移転協定(2006年)の前文に定められる、普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸移設を海兵隊グアム移転の条件であるとしている問題の文章の抜粋。  
8) 前述のように、グアム協定では「普天間飛行場キャンプ・シュワブ沿岸移設は、海兵隊グアム移転の条件」です。この海兵隊グアム移転で、12,000人いるうちの8,000人が沖縄を撤退しグアムに移転することになっています。つまり残る海兵隊要員は若干4,000人です。
(9) グアム移転の対象となるのは、第3海兵隊起動展開部隊の指揮部隊、第3海兵団司令部、第3海兵後方群司令部、第一海兵航空団司令部及び第12海兵隊司令部です。これら部隊のある基地から総勢8,000名が移転するということです。さて、その対象基地はどこでしょうか。
(10) 部隊名毎に辿っていくとわかります。ほとんどの部隊はキャンプ・コートニーに集中していますが、その他キャンプ瑞慶覧、牧港補給地区もこれに含まれることがわかります。つまり、3つの基地の人員が殆どいなくなり3つの基地が空き家になるわけです。政府はこれを説明していない。
(11) さて機密事項なのでこれら3つの施設に果たして何人の要員が配置されているのは防衛省すら明かしません。しかし3施設の敷地面積は公開されています。沖縄知事公室の基地対策室の数値をまとめると、10501平方キロと出ます。 
(12) 3基地分の合計敷地面積は10501平方キロは相当な面積です。嘉手納飛行場よりやや小さい位と考えられます。つまり、グアム移転が実現すると基地3つが返還され、8,000人の米軍人と9,000人の軍属・家族がいなくなる。これが2014年までに実現する。 
(13) 但し、この大規模な基地と人員の整理が実現するには、絶対条件がある。それが先に述べた普天間飛行場キャンプ・シュワブへの移設。これが満たされなければ、大規模な人員整理も基地撤退もない。これが米側の条件です。

(14) 鳩山政権はこの条件を別施設に変えたいとしているが、米側は地元の合意、政権内の三党合意、③海兵隊の一体運用の確保が代替施設受入”交渉”の条件としているとのこと。3つの条件が満たされて初めて、やっと交渉です。
(15) 現在の沖縄各市・県議会で示される民意は一様に「県内であれば移設反対」となっている。したがって、米側が示す①の条件がまず満たされる可能性は殆どない。さらに政府が絞り込んだとされる2つの案のうち、シュワブ陸上案は米側では既に俎上から外れているとの報道もある。 
(16) となると残るはうちが提案した勝連案だが、これもを満たさなければ米側は交渉に入らない。幸運なことに、勝連案は元元海兵隊研究者が考案したものなのでの条件は満たしている。政府がの取り付けに躍起になってるのはその為だと思われる。は政治でなんとかなる。 
(17) ここで仮に米側に全案が否定されるとして、辺野古案でGOということになるとする。実はこれが沖縄県民にはワーストシナリオということになる。現行案だと、グアム移転は確実に実施される。普天間も空く。けれど辺野古は汚される。しかも海兵隊がいつ撤退するかはわからない。 
(18) 2ndワーストシナリオを考えてみる。県外移設だ。県外移設になると、これは完全な協定違反となり、米側はグアム移転計画を執行しなくなる。すると普天間4805平方キロ)分の領域は空くがその要員はそっくりそのまま辺野古に移転する。空くのはスペースだけ。しかも1基地。  
(続く)

文責:参議院議員犬塚直史事務所・外交政策担当 勝見貴弘 (※当時)