国際刑事裁判所(ICC)と日本 [はてな版]

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【ダルフール】集団殺害罪の不適用を不服としてICC検察官が上訴

上記ニュースのように国際刑事裁判所(ICC)への対抗姿勢を強めるスーダン政府側ですが、スーダンに関する独立系メディア(仏)の報道として、スーダントリビューン紙(ST)によると、モレノオカンポ検察官は、ICC予審部によるジェノサイド罪(集団殺害犯罪)不適用を不服として上訴したとのことです。ICC側はこのことに関する公式発表は行っておらず、現時点ではプレスリリースも公開されていません。よって、現時点ではあくまで未確認の情報として考える必要があります。以下は、ST紙の記事を要約したものです。

オカンポ検察官、ジェノサイド不適用の判断に対し上訴(要約)

 国際刑事裁判所のルイス・モレノオカンポ検察官は12日、同裁判所の予審裁判部が下したジェノサイド罪不適用の判断に対する不服を理由に上訴した。予審裁判部第一法廷が今月4日に下した判断では、オマール・アル=バシル被疑者を7件の罪に問い、逮捕状の発行を許可したが、本案件の最大の焦点であった集団殺害犯罪(ジェノサイド罪)についてはこれを証拠不十分として棄却された。オカンポ検察官は当初、この判断を受け、訴追を進展させるかどうかも含めてジェノサイド罪の訴追について再検討すると述べていた。
 本日公開された上訴文で検察官は、第一法廷が「訴追の初期段階に不相応な証拠能力を求めている」とし、法廷の判断には「判断そのものを無効にするだけでなく、今後検察側が提示するいかなる証拠に対する評価も確実に損ね、結果的に公正かつ迅速な審理を妨げるほどの根本的な欠陥がある」とその上訴理由を述べた。
 検察官の主張は、特定の犯罪について個人が罪を犯した場合に発布する逮捕状についてローマ規程が定めるのは、判事らにより「十分な証拠がある」と認められるか否かであるの対し、第一法廷の判事らは現時点では不必要なほどの高い証拠能力を求めていることにある。
 ジェノサイド罪の不適用を判断する際、判事らはまず、なぜ2007年のハルン元人道問題担当副大臣及び民兵組織指導者のアル・クシャイブ容疑者の訴追においては同罪を適用しなかったのかを議論したという。この議論についても、検察側には主張があった。
 「ハルン被告の調書の内容は、アル=バシル被告が全国家的策謀により、ハルン被告を含めた者たちによりジェノサイド罪が犯されたことを示す新たな証拠となり得る」
 第一法廷の3人の判事のうちラトビア出身のアニタ・ウサカ判事はジェノサイド罪の適用を認めていた。残りの2人の判事は、新たに十分な証拠が示されれば上訴を受け入れる用意があることを検察官に伝えていた。