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【日報】(後編)ウェリントン会議に関する報告会への参加報告

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(上)政府側からの視点で報告を行う外務省平野室長
(下)提示されたパワーポイント資料(クリックすると拡大表示されます)


ウェリントン会議に関する報告会について(後編)

NGOに続いて最後の報告を行ったのは、外務省の軍縮不拡散・科学部通常兵器室の平野室長でした。平野室長は、2008年2月25日付けで外務省・防衛省が共同で作成した『クラスター弾に関するウェリントン会議 概要と評価』という報告書に基づいて参加報告を行いました(報告書全文)。

平野室長によると、ウェリントン会議には世界103カ国、10以上の国際機関と70以上のNGOが参加したそうです。日本からは平野室長を団長に、防衛省担当官などが参加しました。米中露は不参加だそうです。

外務省・防衛省(以下、政府)としては、今会議において(1)クラスター弾の定義(2)相互運用性への影響等について「十分な議論が行われた」ことを評価し、またダブリンを最終交渉の場としてウェリントン宣言(外務省仮訳)を、日本を含む82カ国が支持を表明したことも評価しています。

ウェリントン会議の論点(政府の視点)

政府は議論のポイント(論点)は以下にあったと考えています。

(1)定義(definition)
(2)相互運用性(interoperability)
(3)国際的な協力(cooperation)

それぞれの項目について、政府は以下のように対応したと報告しています。

(1)定義については、「信頼性・正確性の高いクラスター弾は規制の例外とすべきであり、一定の移行期間を設けるべき」(英、仏、独、日等)と発言。
(2)相互運用性については、「国際的な平和活動等における共同作戦への影響を回避すべきとの立場」から発言。これに対しオスロ・プロセスの“中核諸国”からは「国際約束の内容を薄めることなく実際的に対処すべき」との主張が出された。
(3)国際的な協力の必要性については各国の意見が一致したが、「条約発効前にクラスター弾を使用した国の責任については、国際約束の普遍性を確保する立場から言及すべきではない」との発言も見られ、犠牲者支援については、「犠牲者本人に加えて家族やコミュニティへの支援が必要であること」について指摘がなされた。

ウェリントン会議での政府の発言(報告書から)

ウェリントン・テキストに対する具体的コメント
(義務と適用範囲)各国が懸念を表明している相互運用性を確保しつつ、新たな国際約束の実効性を確保するとの観点から、ウェリントン・テキストで禁止される「援助、奨励又は勧誘」の対象を「開発、生産又は取得」に限定すること、各国が正当な安全保障上の理由からクラスター弾保有していることにかんがみ、適当な移行期間を設けること等が必要。
(定義)主要な生産国及び保有国の参加を得て実効性を高めることが重要との観点から、クラスター弾の定義として、子弾数が10個以下のクラスター弾、信頼性の高いと見られる以下のクラスター弾については、定義から除外する。

・自己破壊機能、自己無能力化機能若しくは自己不活性化機能が付与されたクラスター弾、又は
・不発弾率が1%以下のもの、又は
・正確性の高いクラスター弾(誘導機能その他によりあらかじめ定められた範囲でのみ有効なもの)

ウェリントン宣言署名時の表明
クラスター弾の人道上の懸念を十分に認識している。
・ダブリン会議では透明性のある議論が行われることを期待する。
・宣言に別添された各国の提案もダブリン会議での交渉の基礎となることを求める。
・CCW(特定通常兵器使用禁止制限条約)の枠組みで議論が行われていることは喜ばしい。
・人道面と安全保障面のバランス、また、オープンで透明性のある建設的な議論が重要である。

以上