明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします。
2007年は、一昨年に引き続き国際刑事裁判所(ICC)にとって、一進一退の年でした。ICCでは、コンゴやスーダンに関する案件が進展を見せる一方で、様々な理由により3名の判事が突如辞任。年末の締約国会議で補欠判事選挙が行われるまで、18名いた判事が15名に減ったなかでの運営を余儀なくされました。また批准状況についても、2006年は4カ国が批准しましたが、2007年はたった1カ国でした。情報では、イエメンが批准間近ということでしたが、議会が紛糾し、せっかく策定した施行法も議会によって否決されてしまいました。また、ICCへの協力を確実なものとするための補完協定である国際刑事裁判所の特権及び免除に関する協定(通称「APIC」)についても、2006年は13カ国も増えた加盟国が、2007年には6カ国へと半減してしまいました。
しかし、このような批准鈍化の状況の中でも、各案件は確実に進展しました。
コンゴの案件では、トマ・ルバンガ被疑者に対する予審が全て終了し、公判の開始が決定しました。さらにスーダンの案件では、国際刑事裁判史上初めて、武装勢力の指導者とともに、スーダン政府の現職閣僚に対する逮捕状が発行されました。また、コンゴの案件では、ルバンガ公判に続き、別の案件の予審が開始されました。さらに、これまでアフリカに集中しがちだったICCの関与はついにアフリカ大陸を越え、南米コロンビアに関する捜査も開始されました。この決定により、ICCはアフリカで4件、南米で1件、計5件の案件を抱えるに至りました。
日本においては、2007年は確実に歴史的な躍進の年となりました。4月には通常国会で国際刑事裁判所ローマ規程への批准が承認され、7月には批准書が国連に寄託されました。これにより10月、日本は正式にICCの105カ国目の締約国となり、11月から開催された第6回締約国会議では、初めて締約国として参加しました。2007年唯一の批准国は、日本だったのです。さらに日本政府は、同会議で行われる補欠判事選にも初めて締約国として候補者を指名。12月の判事選で見事、判事の席を獲得しました。まさに日本にとって、「歴史的大躍進の年」と言っても過言ではない年でした。
しかし、加盟後も日本には依然として課題が残っています。それは、ローマ規程に定める犯罪の国内での犯罪化法制の整備と、批准鈍化が懸念されている前述のAPICへの批准です。日本政府は昨年4月の段階で国会で正式に、これらの必要性を否定しており、現行の法体系でも十分対応可能だとしています。しかし、世界で共通の犯罪を犯罪化し処罰可能にするという普遍的管轄権を実現するには、ICCが管轄する3つの犯罪について、これらを国内で犯罪化及び処罰可能にすることが必須となります。日本がICCによる法の支配の推進と普遍的管轄権の実現を真に目指すのであれば、国内での犯罪化とAPICへの批准はひとつの合理的道筋となる筈です。
JNICCでは、これらの課題を実現すべく積極的に政府に働きかけていく所存です。
本年もどうぞ宜しくお願い致します。
しかし、このような批准鈍化の状況の中でも、各案件は確実に進展しました。
コンゴの案件では、トマ・ルバンガ被疑者に対する予審が全て終了し、公判の開始が決定しました。さらにスーダンの案件では、国際刑事裁判史上初めて、武装勢力の指導者とともに、スーダン政府の現職閣僚に対する逮捕状が発行されました。また、コンゴの案件では、ルバンガ公判に続き、別の案件の予審が開始されました。さらに、これまでアフリカに集中しがちだったICCの関与はついにアフリカ大陸を越え、南米コロンビアに関する捜査も開始されました。この決定により、ICCはアフリカで4件、南米で1件、計5件の案件を抱えるに至りました。
日本においては、2007年は確実に歴史的な躍進の年となりました。4月には通常国会で国際刑事裁判所ローマ規程への批准が承認され、7月には批准書が国連に寄託されました。これにより10月、日本は正式にICCの105カ国目の締約国となり、11月から開催された第6回締約国会議では、初めて締約国として参加しました。2007年唯一の批准国は、日本だったのです。さらに日本政府は、同会議で行われる補欠判事選にも初めて締約国として候補者を指名。12月の判事選で見事、判事の席を獲得しました。まさに日本にとって、「歴史的大躍進の年」と言っても過言ではない年でした。
しかし、加盟後も日本には依然として課題が残っています。それは、ローマ規程に定める犯罪の国内での犯罪化法制の整備と、批准鈍化が懸念されている前述のAPICへの批准です。日本政府は昨年4月の段階で国会で正式に、これらの必要性を否定しており、現行の法体系でも十分対応可能だとしています。しかし、世界で共通の犯罪を犯罪化し処罰可能にするという普遍的管轄権を実現するには、ICCが管轄する3つの犯罪について、これらを国内で犯罪化及び処罰可能にすることが必須となります。日本がICCによる法の支配の推進と普遍的管轄権の実現を真に目指すのであれば、国内での犯罪化とAPICへの批准はひとつの合理的道筋となる筈です。
JNICCでは、これらの課題を実現すべく積極的に政府に働きかけていく所存です。
本年もどうぞ宜しくお願い致します。