国際刑事裁判所(ICC)と日本 [はてな版]

人間の安全保障の発展に貢献する日本と世界の道筋と行く末を見つめます。

【報告】(後編)ジャカルタICCディスカッション参加報告

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冒頭挨拶を述べるLaksono下院議長


ICCを通じたアジアの連帯促進を呼びかける

オープン・ディスカッションではユウォノ氏の講演(教授はステートメントを読み上げるのではなくスライドを使用して“講演”を行った)を中心に議論が行われたのだが、その中でICCに関してはインドネシア国会内随一の見識者と思われるDjoko Susilo議員は、彼の講演内容を一蹴し、インドネシアアメリカに圧力をかけ、また他国が同国にならってアメリカに圧力をかけ続けるためにも、各国の加盟を促進する「囲い込み戦略(inclusion)」を実践する必要があるのではないかと熱弁をふるった。

最後のスピーカーとしていよいよ自分の順番が回ってきた。

日本の国会議員代表の代理で出席したのだが、あくまで代理出席で参加資格は政策顧問(Policy Advisor)の立場としてだったので、最後に充てられたのも無理もなかった。与えられた10分間をフルに使い、以下のような内容を述べた。

○国際司法と人間の安全保障が共に補い合い、法治に基づいた国際秩序を構築するよう、この会議の成功を願うこと。
○日本が国家として、これまで人間の安全保障を外交政策の要として捉え、推進してきたこととその実績。
○2006年12月に東京で採択されたPGAの東京宣言に倣い、国家の安全保障から人間の安全保障へと、安全保障の概念の解釈が広義的なものからより狭義でフォーカスされたものへのとパラダイムシフトしていること。
インドネシアでの2008年加盟を目指す動きや、日本が今年果たすでろうICCへの早期加盟は、そのパラダイムシフトが現実のものとしてあることを示す一つの証左であること。
○経済大国の日本や世界最大のイスラム民主国家であるインドネシアなどの地域の大国が加盟することで、ICCで最も少ないアジアおよび中東・アフリカ諸国からの加盟と参加を促進する可能性。
○このような認識のもと、各国の外交方針が「国益中心の考え方」からより「普遍的な考え方」へとシフトしていること。
○その中でPGAの日本支部およびJNICC、自民党議員連盟が果たした役割を説明。

最後に、以下のようにいちアジア人として、アジアの視点から演説を結んだ。

ここからは、アジア人の一員として述べさせて頂きたい。

アジアはこれまで、利害の衝突や相互理解の欠如から、機会を失ってきた。
アジアは、人道・人権面での統一性や一貫した政策を最も欠いている地域である。
アジアはこれまで、国際機関においてそのプレゼンスを誇示することができないでいた。

この傾向に歯止めをかけなければならない。

アジアは共にあるべきである。
アジアの存在感が示されるべきである。

ICCへの加盟はそのための連帯を生む推進力となるであろう。

アジアは、歴史的な問題から生じる政治的な対立から解放され、
繁栄と幸福を求める権利を満たすという、共通の目的のために連帯すべきである。

日本やインドネシアの加盟が、地域の連帯、そして人間の安全保障を中核に据えた、
結束のある法治に基づいた政策策定の慣習化を地域内で促進する礎となることを願う。

From here, let me speak as an Asian.

Asia until now has suffered loss of opportunities through conflict of interests and differences. Asia is a region that suffers from lack of cohesion and coordinated policies in humanitarian affairs. Asia has been least represented in international legal institutions in the past and this trend must be stopped. Asia needs to be united. Asia needs to be represented. We believe that joining the ICC would act as an impetus to form the engine for creating this cohesion.

Asia needs to overcome historical differences and political enmities to unite for a common cause; to seek prosperity and pursue the right to happiness together. I hope Japan's as well as our host country’s accession to this global legal entity will accelerate this movement towards regional unity and the establishment of a cohesive rules-based policy-making norms based on Human Security in the region. 

以上

参考:
ジャカルタポストの10日付けの朝刊の記事
RI to join global criminal court

地球規模問題に取り組む国際議員連盟PGA)公式サイト
(国際本部)http://www.pgaction.org/
(日本支部http://www.pga-japan.jp/index.html