国際刑事裁判所(ICC)と日本 [はてな版]

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【国連】侵略の罪に関する特別会合で協議に進展あり(2007.02.01)

2007年1月29日~2月1日の期間でニューヨークの国連本部で開かれていた第五回締約国会議(ASP)の再開協議が閉幕しました。今回の会議は、2006年11月に開催された第五回ASPで、侵略の罪に関する審議を行うアジェンダを完了できなかったため、同会議で再開協議の日程が特別に定められ、侵略の罪に関する特別作業部会が特別に召集されることになったものでした。その会議の中で協議に進展が見られたという報告がCICC本部から上がってきたので皆さんにもお知らせします。

(1)侵略の罪に関する特別作業部会
  • アジア参加国は、中国、インド、インドネシア、日本、韓国、モンゴル、ネパール、パキスタンサモア、タイのわずか10カ国。
  • 侵略の罪に対する管轄権の行使条件について4つの原則的選考パターンが浮上:
    1.安保理及び国連の完全不介入(アラブ・アフリカ諸国が支持)
    2.均衡のとれたICC安保理の位置関係安保理メンバー国、一部欧州諸国が支持)
    3.安保理は完全不介入だが総会やICJの役割を検討(一部アラブ・アフリカ諸国が支持)
    4.均衡のとれたICCと国連諸機関(安保理含む)の位置関係(アフリカ、欧州、ラテンアメリカアジア諸国が支持)

これらの原則に則り、変則的な対応パターンが検討された。
捜査開始前の検察官の権限:
  • 安保理の決定があることを確認してから捜査する
  • 安保理の決定が不在な場合は安保理に報告する
  • 安保理が6カ月以内に決定を下さない場合、検察官は安保理に通知したのち:
    1) 通常の予審審査手続きを経て捜査を開始できる。
    2) 捜査を開始できない。
    3) 国連憲章第12,14,24条に従い12か月以内に総会に決定を仰ぐ。
    4) 総会でも決定が不在な場合、国際司法裁判所(ICJ)の規程第2章の定めに従いICJが決定した場合は捜査を開始できる。

議論の結果、一部のアラブ・アフリカ諸国は侵略の罪に関する協議が完了すれば、加盟する準備があると表明。これらの国はローマ規程第16条に定める以外には安保理の完全不介入を条件としているが、ICCの最大の貢献者でありスポンサーでもあるベルギー、ノルウェースウェーデンなどの欧州諸国は安保理の存在が不可欠であると考えているため、最終的には妥協案に辿りつくと思われる。