国際刑事裁判所(ICC)と日本 [はてな版]

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【検証】政府は予定通り7月に批准書を寄託の公算か

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                     日本経済新聞、1月16日(火曜日)の夕刊より

政府は予定通り7月に批准書を寄託の公算(JNICC調べ)

日本が今年度の国際刑事裁判所(ICC)負担金予算として用意した7.2億円(全体予算の1/4で、負担金の丁度3か月分)と、政府が最新の報道で示した「加盟」予定から逆算して、日本が批准書を寄託する日程(CICCではこの寄託日が批准日とされています)を大体割り出しました。すると、昨年8月末に各社が一斉に報じたとおり、政府が批准書の寄託を予定しているのは日経の発表した10月ではなく、7月中であるという計算となりました。これは、「批准書の寄託」「条約への加入」が同日に起きないことに起因するものです。なぜなら、批准書の寄託後に当該国が締約国として登録されるのは、最低でも60日後であることが、以下のように最終条項の第126条に規定されているからです。

第126条 発効 ― Article 126 Entry into force
 ② 本規程は、第60番目の批准書、受諾書、承認書または加入書が寄託された後に、批准し、受諾し、承認しまたは加入した国について、その国が批准書、受諾書、承認書または加入書を寄託してから第60日を経た後の月の第1日に、効力を生ずる。
この規定に則れば、日本が10月のうちに確実に批准を果たすのであれば、日本に条約上の分担金の支払い義務が生じるのは、二カ月後の12月あるいは遅くとも翌年1月からで、年内の支払いは最高でも1カ月分となる計算になります。つまり、昨年の12月の時点で確保された予算金額(7億円)と計算が合いません。年度予算は、あくまでその年度の予算なので年度内に消化される必要があります。7億では、1カ月分の支払いとしては余りが多すぎます。財務省はそのような無駄な歳出は許可しないでしょう。

ここで日本の批准日程を当初報じられたとおり7月中とすると、規定に則った条約の発効日(10月1日)までの期間と、計上された予算の割当て額がぴったり3か月分に相当することがわかります。
このことから、JNICCとしては、日経が16日に報じた「10月にも加盟」が意味するところは、『日本が批准書を寄託した後に晴れて締約国となる日』を示したものであるという結論に達しました。
これはあくまで、これまでわかっている事実を整理して検証してみて辿りついた、ひとつの推測としての結論なのですが、7月には参院選を控え全ての政治的活動がそこに集中することも考慮すると、合点の行く結論ではないかと考えております。

尚、この件について本日、日経に問い合わせたところ、日経側は、取材を重ねた上の記事なので「紙面で紹介した範囲でご理解いただけますよう、お願いいたします」と回答してきました。このことからも、日経側は記者会見での安倍総理の発言の裏をとって「10月にも加盟」と報じたのだと考えることができると思います。

(ちなみに、「これは総理会見から得られた情報に基づくものでしょうか」という私の問いに対して日経側は、「取材先や取材の経緯などについては、報道した以上の情報は提供しておりません」と回答してきたため、記事から読み取る限りでは取材が総理の記者会見に基づくものであることの確証はありません。しかし、16日は実際に記者クラブにおいて総理による国会提出法案に関する記者会見が行われた日なので、これは暗黙の了解事項と考えます。)(参考:首相動静(1月16日)- 時事


参考:日経への問い合わせ内容(250文字以内という制約あり)https://sch.nikkei.co.jp/nikkeinet/より送信
昨日16日夕刊の「国際刑事裁判所」に関する記事にあった「成立を待って10月にも加盟したい考えだ」という記述ですが、これは総理会見から得られた情報に基づくものでしょうか。他社は昨年8月末、加盟時期は7月と一斉に報じています。国会終了後は参院選が控えている為、それまでに加盟を果たす必要があります。7月辺りに加盟しますと、規定により条約が発効するのはその60日後を過ぎた1日目、10月1日となります。安倍総理がここまでの背景を把握した上で「10月にも」と仰ったのかどうか、ご確認頂けますでしょうか。