国際刑事裁判所(ICC)と日本 [はてな版]

人間の安全保障の発展に貢献する日本と世界の道筋と行く末を見つめます。

【ウガンダ】(下)現地メディアによる和平交渉責任者とのインタビュー(訳)

ICCの逮捕状は交渉の強みになる」和平交渉の政府代表(下)

しかしNduguさん、それでは「飴と鞭」の状況のように思えるのですが違いますか?ウガンダ政府は、片方では飴をやり、片方ではそれを取り上げたりしていませんか?

そういった矛盾は一切ない。政府がICCに向いたのは、この問題を解決するための合理的な手段を模索していたからだ。ICCに付託した後は、政府の責任として平和的に紛争の解決にあたってきた。政府はこの問題を解決することを非常に重要視しているからこそ、多面的なアプローチを採った。紛争を解決することを第一義に置いているからだ。これらの多面的アプローチは、互いに補完し合っていると我々は見ている。

我々の見方としては、ICCはこの和平プロセスにおいて補完的役割を果たしており、この和平プロセスはICCの発展に寄与していると見ている。互いに支えあっているのであり、矛盾はしていないのである。

ICCはどのように和平プロセスを補完しているのですか?
ICCの起訴により、LRAに対して、国際社会が紛争の終結と正義を求めており、犯罪を犯す者については、これを看過せずに政府当局と協力して正義が為されることを望んでいるというメッセージが伝えられた。したがってICCは我々共通の免責との戦いを強化する一方で、紛争を平和的に解決しようとしている我々の努力を補うものでもあるのだ。

私個人の意見としては、ICCの起訴は北ウガンダの問題すべてを解決に導くに当たって、補完的な役割を果たしていると考えている。

ウガンダの問題が平和的に解決される見通しは?

見通しは明るいと思う。

しかし現在の交渉では、実体のない提案が双方を行き交っているだけだ。むしろ現段階に至っては、もはや交渉という体すら成しておらず、ただ単に双方の揚げ足取りに終始してしまっているくらいだ。このような意味のないやりとりが果たして北ウガンダにおける実体のある平和という形に帰結するか、疑問に思うことだろう。

しかし、いくつかの難関に直面しているからといって、それで交渉が停滞しているという証左にはならない。これまでにいくつか、目に見える成果を残しているし、具体的な進展も見られている。

まず停戦に漕ぎ着けたこと。これはひじょうに大きい。またLRAの指導部がウガンダ内の隠れ家から出てきたということ。これもひじょうに意味があった。さらに彼らがウガンダの地を離れたことも、ひじょうに大きな意味を持つ。

これらの点では、重要な進展が見られたといえるだろう。無論、他の側面でまだ進展が見られないことも多々あるだろうが。

たとえば?
たとえば反乱軍がOwiny-Ki-bulを離れ、その後Ri-Kwangbaにも集まっていないことだ。

停戦監視団は8月26日の停戦協定を延長することを提案したようですが、両者はこの提案を呑んだ?
現在、まさに協議中というところだ。

これまでの停戦の成果がどれほどのものかを確認しなければならない。その後で、どのように改善するかなどについて再び合意しなければならない。

平和協定は、反乱軍がOwiny-Ki-bulやRi-Kwangbaに再集結するきっかけにしかならないとお考えですか?
時間は本質的な問題ではない。もっと時間が稼げれば、反乱軍が優位になるわけではないのだ。我々は、彼がなぜOwiny-Ki-bulを離れたのかを分析している最中だ。一方で、信頼醸成のための他の手段も考えているところだ。

政府は延長に賛成していると?
勿論だ。停戦協定がやっと結ばれたのだから、これを継続したい。紛争の再発は望んでいない。むしろ、この協定をより強化し、紛争を永続的に凍結する完全な和平協定のもとで正式な停戦に発展させたいと思っている。言ってみれば、今回の停戦協定は最終的な和平協定に到達するための1ステップに過ぎないのだ。