国際刑事裁判所(ICC)と日本 [はてな版]

人間の安全保障の発展に貢献する日本と世界の道筋と行く末を見つめます。

【語録】現役官僚からの提言(2)─外務省国際法局付検事

日本が国際刑事裁判所(ICC)に主体的に参加するための形

第一の形 資金面の拠出
我が国の分担率は国連通常分担率に関して定められた一カ国の分担率の上限である22%に達し、現在訳18%のドイツを抜いて最大拠出国となる。大国の多くが未加盟のため予算面でも楽観が許されないICCにとって日本の加盟には救世主とも言うべき役割を期待されている。

第二の形 人的貢献
最大拠出国ともなれば判事、検事など選挙で選任される幹部ポストと一般職員の双方で、その地位にふさわしい貢献をすることが求められる。日本が加盟すれば職員の地域的不均衡の問題を相当程度解決できるとの期待は高い。

第三の形 基本的意思決定への関与
判事や検事の選出、予算の決定などICCの主要事項の決定は、国家で言えば国会にあたるASP(※)によってなされるから、これらに積極的に参加することによりICCの舵取りの一翼を担うことができる。
※ASP:Assembly of States Parties=締約国会議(概説

著:野口元郎
外務省国際法局付検事、国連アジア極東犯罪防止研修所教官
『国際刑事裁判所は今~日本の加盟が果たす意味~』
論座 2006年1月号)より