決して電力が不足するからでも電気料金が高騰するからでもない。
再稼働させないと電力会社の経営が破綻に直面するからだ。
それにより、各電力会社は、原発の廃炉に必要な金額を毎年、年度末に一括して引き当てをすることが決められた。ただし、毎年の引当金の金額は、それぞれの原子炉が運転を開始してから運転を終了するまでの間に発電するであろう総発電量に対して、それぞれの年に発電した電力量に応じて積み立てる。
想定総発電電力量=
引当額=
総見積額x(累積発電電力量/想定総発電電力量)-前年度残高
つまり、稼働率が低い原発は、本来引き当てるべき引当金よりも、年度末に引き当てる金額のほうが少なくなる。だから、問題が大きい原発ほど、40年を超えて稼働させないと、引き当てが過小になり、廃炉にするときに損失を計上しなければならなくなる。
一番安いのが関電の美浜一号(34万kW)の318億円、一番高く見積もられているのか浜岡五号(138万kW)の844億円。
これが正しいかどうかは検証が必要だ。
それぞれの電力会社の23年度末装荷核燃料簿価(原子炉内の核燃料の簿価)と完成核燃料簿価(原子炉以外に持っている核燃料の簿価)は
廃炉を決定した場合に各社が損失として計上するべき金額、つまり(引当金不足額+完成核燃料簿価+装荷核燃料簿価+原子力発電設備残存簿価から廃炉引当金以外の引当金を除いた金額の合計)、各社の23年度末純資産、その差額(マイナスは債務超過)
ちなみに23年度の十社の売上高合計15兆5,000億円、経常利益-1兆2,000億円、当期純利益-1兆6,000億円。
エネルギー政策の転換には、電力業界の抜本的な立て直しが避けられない。
※本転載では、①計算式や表を見やすくして、②数字を半角にして③「,」を付け、④表内でのマイナス表示を通常の表での表示形式()に変え、⑤全ての統計をグラフで表している以外は、基本全てをそのまま転載しています。