国際刑事裁判所(ICC)と日本 [はてな版]

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【リビア】国際刑事裁判所、予審裁判部が逮捕状発行を承認(2011.06.27)

2011年6月27日
報道資料
ICCリビア政府関係者3名に対する逮捕状の発行を決定


何が:2011年6月27日国際刑事裁判所ICC)の予審裁判部第一法廷は、2011年2月15日以降、リビアにて発生した人道に対する罪の疑いで、以下の3名に対する逮捕状を発行した。

ムアマル・カダフィMuammar Gaddafi):リビア最高指導者(2011年10月24日、当ブログ上で削除
セイフ・イスラムカダフィSaif Al-Islam Gaddafi):同氏次男、政府スポークスマン
アブドラ・アル・サヌーシ大佐(Colonel Abdullah Al-Senussi):軍事諜報部部長


何故:2011年5月16日ICCのルイス・モレノオカンポ検察官は上記3名に対する逮捕状の発行を予審裁判部に申請。同予審裁判部第一法廷の判事らは、同国において上記3名により人道に対する罪が発生したことを疑うに十分な理由があると判断。同3名らの裁判所への出廷を求め、これ以上の犯罪の発生と捜査の妨害を防ぐことが必要と判断し、逮捕状を発行したICC検察局プレスリリース

背景:  2011年2月26日、国連安全保障理事会は、リビアにおいて、文民に対する組織的かつ広範な攻撃が行われており、これが国際刑事裁判所ICC)が管轄する人道に対する罪に該当するのではないかと判断。同事態のICCへの付託を決める決議1970
全会一致で採択した。ICCは国連とは独立した機関であるため、その付託は自動的に捜査が開始されることを意味するものではない。そこで初期調査を行った結果、捜査を開始するに十分な根拠が見られると判断され、2011年3月3日ICCモレノオカンポ検察官は、犯罪が行われたことを疑うに十分な理由があるとして、同国に対する捜査を公式に開始したことを発表したICC検察局プレスリリース

リビアは、スーダンコンゴ民主共和国中央アフリカ、北部ウガンダケニアに次ぎ、6番目の捜査案件となる。現職職の国家首脳にICCが逮捕状を発行するのは、スーダンのオマル・ハッサン・アハメド・バシル(Omar Hassan Ahmed al-Bashir)大統領に続いて2人目本ブログ関連記事

今後:  逮捕状の執行はリビア政府当局の責任事項となる。安保理決議1970により、リビア政府当局はICCに協力する義務がある。ただし、実際の執行にはリビア暫定国民評議会及び周辺諸国の協力が必要とされるであろうと見られる。また、本件で追求される人道に対する罪以外にも、ICCの管轄犯罪である諸犯罪が発生した可能性について依然捜査は継続中であり、その結果本件以外の訴追案件が発生する可能性も考えられる。ICC検察官は6カ月毎、捜査の進捗について国連安保理に報告する義務があるため、継続中の捜査についても報告が続けられる。




補足:  2011年3月7日、案件は裁判所長判断により予審裁判部第一法廷の担当となった。
同法廷の担当判事は次の3名であるICC書記局プレスリリース)。


参考資料: