(表紙)
(裏書き)
脱主権国家への挑戦~支えあう平和を求めて~
■ジャンル
国際政治,安全保障
■キーワード
■刊行日
2010年6月3日
■価格(税込)
1,500円
■サイズ
A5版
■ページ数
210
書籍内容
世界へと目を向けると、9・11に象徴され、それ以降もいまだ各地で続くテロリズムや、解決の道筋のつかない地域紛争や飢餓・貧困・感染症などの問題をはじめ、地球温暖化に起因する可能性のある異常気象とも関わる大規模自然災害などへの対応において、これほど国際協調が問われている時代はない。
かつて驚異の経済的成功を収めてきた日本も例外ではなく、国際的な経済のグローバリゼーションという環境変化に晒され、 貧困問題などを筆頭に様々な問題が噴出している。その一方で多くの困難を抱えるたびごとに、日本人の意識は次第に内向きへとベクトルを変えて来た。
そのような現状認識にたち、食料と原材料のほとんどを輸入に頼る日本が平和と安全を享受するために、これからの日本が世界の安全に対して主導権を発揮し、『第二の開国』をする事でしか、これからの日本の安全保障は達成されないのではないか、という観点から、日本と世界の在り方をもう一度問い直し、新しい人材大国としての国づくりをする必要がある。
その認識のもと、安全保障という概念を単に国防問題としてのみ捉える事なく、視野をもっと広くもつことで、『人間の安全保障』というオルタナティブな視点をもとに、国際刑事裁判所(ICC)、国連緊急平和部隊(UNEPS)、通貨取引開発税(CTDL)、支えあう安全保障ゾーン(SSZ)、人間の安全保障省(MHS)、北東アジア非核兵器地帯条約(NEA-NWFZ)、人道救援任務部隊(HRTF)、国連憲章第八章に基づく地域安全保障機構(RSC)などの国内外の公共財の創造とそれらの実現への具体的な道のりを指し示す。
貧困や紛争に直面する援助対象国のみならず、日本国内の格差是正や人間開発を行う事をも目指し、様々な分野で国際的な平和構築に寄与する人材を育成する事こそが、日本の安全保障に役立つとともに、日本人が外からの脅威に怺えずに、国内問題に専心出来る環境を作り上げることにつながる。そのように内政と外交がつながる政治を目指して安全保障を国防問題としてのみとらえるのではなく、広く人々の暮らしを守りはぐくむ大きな考え方として提示する。
本書は、決して国防問題のみにとどまらず、広く人権状況の改善や平和の構築を目指して普遍的な概念の共有を指向する、参議院議員生活6年を迎えた著者による、NPO法人世界の医療団(メドゥサン・ドゥ・モンド・ジャポン)設立会員でもある著者にしか書けない、議員活動6年の総括とこれからへ向けてのマニフェストである。
本文抜粋
私は、政治の道を選ぶ前は、ハワイのホテルや旅行会社等を経営していました。良い経営者になることが 目標でした。
しかし、1995年、阪神淡路大震災をきっかけに、私の想いは大きく変わることになります。
フランスから、災害援助のために「世界の医療団(MDM)」の医師や看護師たちがやってきたのです。「世界の医療団」のメンバーは、残念なことに、日本の当局から医療行為を行うことが許可されず、その能力を発揮することができませんでした。
フランスでは地位も名誉もある、そして中には自分の病院を持っている医師たちもいました。
彼らは、困っている人を助けようとしている。しかも、自分のそうした仕事を愉しんでいる。
私は、彼らの前向きな姿、そして自由な心にショックを受けました。
自分も何かできないか。
彼らのように生きたい。でも、私は医者ではありませんでしたから、困っている人が大勢いる現場を訪れて、直接命を救うことはできない。
でも、何かをしたかったのです。彼らのように、自分の想いを行動に移す生き方をしたかった。
「紛争の原因を取り除くのが、政治家の仕事なのである」(第一章より)
書籍構成
まえがき
第一章 「脱主権」につながる「人間の安全保障」
内政と外交をつなげる人間の安全保障/援助人材大国を目指して
第二章 国際社会に「法の支配」を
国際刑事裁判所の役割/第三の執行機関構想/戦争の違法化/国連の限界
第三章 「保護する責任」を全うするアクション
「テロ根絶法案」が目指すもの」/国連改革につながる骨太の議論を/政治の仕事
第四章 国際紛争解決に日本ができること
支えあう平和を求めて/援助人材大国となるべき日本/MDGsを実現する通貨取引開発税/CTDL実現に向けて
第五章 破綻国家やテロリストにどう対峙するのか
「核によらない平和」という選択肢/「もうよいのではないか」という言葉の罠/国際公共財の創出こそが国防の要
第六章 北東アジア非核化と民軍の有機的な結びつき
第七章 駐留無き日本へ
米軍再編がもたらす機会/「支えあう安全保障」へ/共同作戦部隊「HRTF」構想/「責任ある選択」
あとがき