国際刑事裁判所(ICC)と日本 [はてな版]

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【検証】米大統領弾劾の動きにまつわる事実(応用編)

ブッシュ大統領弾劾推進派のサイト“Impeach Bush”による6月9日時点の報告では、以下のような情報がもたらされています。

事実(3)弾劾提案は「優先議題」として検討された
弾劾提案は(仮)優先議題(questions of privilege)として議会に提示され、議題として扱われた。ペロシ議長は弾劾を検討議題に入れなかったが、下院議事規則(House Practice)により、「優先議題」は他の議題に優先して検討される事項であるとされ、最低で1時間の審議がなされなければならないため、「優先議題」として審議の時間が設けられた。

事実(4)審議中、多くの議員が議場を離れた
クシニッシ氏による提案の朗読が始まると同時に、多くの議員が議場を出た。
下院議長のナンシー・ペロシ氏も、朗読が終わるまでに議場を出た。

事実(5)弾劾プロセスでは下院での可決が不可欠である
下院で始まる弾劾プロセスが完了するには、下院での十分な審議と可決が不可欠である。下院での可決を経ないと、大統領の弾劾は確定しない。

大統領弾劾のプロセスは、これまで次のような方法で行われてきた。

(1)下院議員による弾劾決議の提出
(2)連邦大陪審による訴追
(3)調査委員会による訴追
(4)州による請願

このうち今回クシニッチ議員がとったのは(1)の方法で、弾劾を確定するには下院で採決をとる必要がある。そのためには、下院で十分な審議がなされたうえで、司法委員会に付託し、司法委員会での調査の結果、弾劾書が承認されるという手続きを経なければならない。その後、承認された弾劾書について再度下院で検討が行われ、採決される。

採決は、弾劾書の各訴求項目についてそれぞれ行われ、訴求項目のうち1つでも賛成多数(50.5%)により議決されると、大統領は下院で弾劾が確定したことになる。下院の判断は上院に送付され、ここで初めて、有罪か無罪かを決める裁判が上院で行われる。ここで上院の2/3の議決が集まれば、大統領は有罪となり弾劾確定となる。弾劾確定後、大統領は再選を禁じられ、刑事訴追の対象となる。

以上をまとめると、弾劾プロセスの流れは次のようになる。

1.  下院議員:動議として弾劾書を提出。
2.  下院:弾劾書を審議。
3.  下院:司法委員会への付託の可否を採決する。
4.  司法委員会:弾劾書の内容を精査して調査を行う。
5.  司法委員会:弾劾書の承認の可否を採決し下院に送付する。
6.  下院:承認された弾劾書を検討する。
7.  下院:承認された弾劾書を項目ごとに採決する。
8.  下院:採決で賛成多数が得られた場合は判断を上院に送付する。
9.  上院:有罪・無罪を確定する裁判を行う。
10. 上院:採決で有罪への絶対多数が賛成が得られた場合、弾劾確定。

現在、ブッシュ大統領に対する弾劾プロセスは(3)にあることになる。