国際刑事裁判所(ICC)と日本 [はてな版]

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【活動】PGA検討会議、ダルフール問題に関する宣言を採択(上)

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(上)第2セッションの模様。手前にずらっと並んでいるのがEU関係者の面々
(下)ずらっと並んだEU関係者の面々を正面から捉えた図(実はさらに3人ほど後方に…)


地球規模問題議連(PGA)の検討会議、ダルフール問題に関する宣言を採択

2008年5月14日、犬塚が事務局長を務める超党派議連「地球規模問題に取組む国際議員連盟(PGA)日本委員会」(通称「PGAジャパン」)は、ダルフール及びチベット情勢をICCの文脈で討議する検討会議スーダンのICC国際刑事裁判所に対する不協力問題及びチベット問題に関する検討会議』を開催しました。

会議では、EU欧州連合の各国大使館関係者や駐日欧州委員会代表部の関係者(7名)、国内外のNGO関係者(2名)を招き、PGA国際本部の専門家(1名)、外務省のアフリカ・中国それぞれの担当官(2名)などによる現状説明を中心に議論が進められました。

会議全体のアジェンダは次のとおりでした。

第1セッション:ダルフールチベット問題の現状と国際社会の対応
第2セッション:スーダンICC国際刑事裁判所に対する不協力問題
第3セッション:ダルフールチベット問題について平和と正義を求める宣言の採択

第1セッション:現状確認

第1セッションでは、ダルフールについては外務省中東アフリカ局の松富重夫(まつとみしげお)審議官が、チベットについては同アジア太平洋州局中国課の秋葉剛男(あきばたけお)課長が、それぞれ最新の現状説明を行いこれに対し議員らを含めた参加者が質疑応答を行うという形で議論が進められました。

ダルフール情勢に対する日本政府の取組みについては、参加者から不十分であるとして疑問が投げかけられる一幕もありました。当日配られた外務省資料によると、日本政府はこれまで対ダルフール人道支援として約8,500万ドルを拠出し、政治プロセスでも今年3月にジュネーヴ非公式協議に参加するなど「和平プロセスに積極的に参画」しているとのこと。今年5月には外務副大臣ダルフールを訪問してスーダン政府要人に「ダルフール問題の早期解決」や「人道アクセスの確保」を働きかけています。しかし議論では、スーダン政府の安保理決議不履行に対する日本政府の対応はあまりに弱いのではないかいう疑問が噴出。松富審議官に対し容赦のない批判の声が集中しました。

チベット情勢については秋葉課長は今年3月15日の外務報道官談話を読み上げ、これを政府の基本認識として提示しました。具体的には以下の内容。

1. 我が国は、中国チベット自治区ラサ市において、市民と当局の衝突により死傷者が出ている現在の情勢につき、懸念し、注視している。
2. 我が国は、関係者の冷静な対応を求め、今回の事態が早期にかつ平和裡に沈静化することを強く期待する。
(平成20年3月15日外務報道官談話「チベット情勢について」より)

また日本政府の立場として、中国政府側には透明性の確保を求めていることを強調し、「関係者間の対話が行われることを歓迎する」(3月29日)という立場を福田総理自身が中国側に表明していることを明らかにしました。さらに高村外務大臣の発言(4月25日)にも触れ、中国政府がダライ・ラマ氏側と接触する用意がある旨を日米両政府に事前(発表の1時間前)に通知していたことを明らかにし、日本政府に対し中国側が一定の透明性を示していることを強調しました。

さらに秋葉課長は中国の胡錦濤国家主席訪日の際のやりとりとして、日本側からはチベット情勢について「十分な説明を尽くすこと」とともに、ダライ・ラマ氏側と「粘り強く交渉を続けていくこと」を要請したことを明らかにしました。

このような政府の現状の対応について、特に海外の参加者から質問が多く寄せられ、ダルフール問題に続いて日本政府が人道的問題に適切に対処し切れていないのではないかという批判がなさました。

第2セッションでは、この批判を行ったPGA国際本部国際法・人権プログラムのダビッド・ドナ・カッタン(David Donat Cattin)局長により基調講演が行われ、これに対し同様に参加者らと質疑応答を行うという形式がとられました。

「下」へ続く