2007年4月26日参議院外交防衛委員会
民主党・新緑風会 犬塚直史質問
民主党・新緑風会 犬塚直史質問
1. 実体法の整備(法)(防)
① ローマ規程において集団殺害犯罪などの対象犯罪を締約国が犯罪化することが義務付けられていないことは承知しておりますが、ローマ規程に定められる3つの犯罪(集団殺害犯罪、戦争犯罪、人道に対する犯罪)を国内法でも犯罪として裁けるようにする必要性があるのではないでしょうか。(法)
② 政府はローマ規程に定める「重大犯罪」を既存の刑法の殺人罪等の範疇で裁けるとしているが、犯罪の構成要件が異なるため対応できない部分が出てくるのではないでしょうか。(法)
③ 重大犯罪を許さないとする我が国の明確な意思を国際社会に示すためにも、3つの重大犯罪を国内法でも犯罪として規程すべきではないでしょうか。(法)
④ 現行の刑罰法規以外に新たな罰則規定は必要ではないのでしょうか。(法)
⑤ 上官責任の規定について、現行の自衛隊法では刑法総則に則り実行者のみが罰せされる実体規定となっているが、これはローマ規程の理念に反するのではないでしょうか。(防)
① ローマ規程において集団殺害犯罪などの対象犯罪を締約国が犯罪化することが義務付けられていないことは承知しておりますが、ローマ規程に定められる3つの犯罪(集団殺害犯罪、戦争犯罪、人道に対する犯罪)を国内法でも犯罪として裁けるようにする必要性があるのではないでしょうか。(法)
② 政府はローマ規程に定める「重大犯罪」を既存の刑法の殺人罪等の範疇で裁けるとしているが、犯罪の構成要件が異なるため対応できない部分が出てくるのではないでしょうか。(法)
③ 重大犯罪を許さないとする我が国の明確な意思を国際社会に示すためにも、3つの重大犯罪を国内法でも犯罪として規程すべきではないでしょうか。(法)
④ 現行の刑罰法規以外に新たな罰則規定は必要ではないのでしょうか。(法)
⑤ 上官責任の規定について、現行の自衛隊法では刑法総則に則り実行者のみが罰せされる実体規定となっているが、これはローマ規程の理念に反するのではないでしょうか。(防)
2. 関連諸条約の締結および採択の推進(外)(法)(防)
① ジェノサイド条約の締結─ローマ規程の集団殺害犯罪の定義はジェノサイド条約と同じです。ローマ規程を締結する(条件が揃った)のであれば、これまで未締結だったジェノサイド条約も早期締結に踏み切るための条件が揃うのではないでしょうか。(外)
ジェノサイド条約第2条
「この条約では、集団殺害とは、国民的、人種的、民族的又は宗教的集団を全部又は一部破壊する意図をもつて行われた次の行為のいずれをも意味する。」
ローマ規程第6条
「この規程の適用上、「集団殺害犯罪」とは、国民的、民族的、人種的又は宗教的な集団の全部又は一部に対し、その集団自体を破壊する意図をもって行う次のいずれかの行為をいう。」
② 強制失踪防止条約の締結─2006年12月20日に国連総会で採択され、わが国は2007年2月6日の署名開放と同時に署名はしているが4月現在未だ批准はしていません。本条約における「強制失踪」とは、ローマ規程に定める「人道に対する犯罪としての強制失踪」と同じであるはずのため、ローマ規程に批准できるのであれば強制失踪防止条約にただちに批准できない(国内法整備がなされていない)のはおかしいでのはないでしょうか。強制的失踪防止条約の仮訳およびローマ規程の正文においては、「強制失踪」は以下のように定義されています。(外)(法)
強制失踪防止条約第2条
この条約の適用上、「強制失踪」とは、国の機関又は国の許可、支援若しくは黙認を得て行動する個人若しくは集団が、逮捕、拘禁、拉致その他のあらゆる形態の自由のはく奪を行う行為であって、その自由のはく奪を認めず、又はそれによる失踪者の消息若しくは所在を隠蔽、かつ、当該失踪者を法のすることを伴い保護の外に置くものをいう。
同第5条
強制失踪の広範又は組織的な実行は、適用可能な国際法に定める人道に対する犯罪を構成し、及び当該適用可能な国際法の定めるところにより結果を得る。
ローマ規程第7条2のi項
「人の強制失踪」とは、国若しくは政治的組織又はこれらによる許可、支援若しくは黙認を得た者が、長期間法律の保護の下から排除する意図をもって、人を逮捕し、拘禁し、又は拉致する行為であって、その自由をはく奪していることを認めず、又はその消息若しくは所在に関する情報の提供を拒否することを伴うものをいう。
③ ATT武器貿易条約の採択推進─2006年7月24日に国連総会に提示されたが採択に至ってはいない(米国は反対、24ヶ国が棄権)。ATTは、その先駆的存在である国連行動計画のSALW(1995年)の実施の過程で英国・日本の主導により推進されている条約(2003年)で、小型武器のみを対象とした規制実施計画を設けたSALWに対し、ATTは通常兵器の輸出規制をも含む基本的枠組条約の性格を持ちます(2005年)。わが国はATTの着想以来、積極的に同条約の起草推進に取り組んできました。本年2月には外務省主催でATTに関するシンポジウムも開かれています。だがしかし、ATTが定める「通常兵器」には当然、地雷兵器の一種として考えられるクラスター爆弾も含まれています。すなわち、ATTだけでなくオスロ宣言の受託推進も視野に入ってきます。まずATTについて伺いますが、これがクラスター爆弾をも含む通常兵器全般を規制する条約なのであれば、ATTの推進役のわが国としては言行不一致となるような姿勢の表明は国際的信用の失墜に繋がるのではないでしょうか。お考えをお聞かせ下さい。(外)(防)
④ オスロ宣言の受託推進─2007年2月23日にノルウェー主導で、非人道兵器として使用や生産などの禁止が採択されたクラスター爆弾について、わが国は安全保障上の理由からこの宣言への参加を見合わせています(参加した49ヶ国中、宣言に参加しない意向を示したのは日本を含めた3ヶ国のみ)。しかし、DDRの専門家としても知られる東京外国語大学の伊勢崎賢治氏によれば、クラスター爆弾は「戦闘員より一般市民への殺傷率が甚大」(非人道的)であり、「日本にとっての脅威はミサイルや核施設などに対するゲリラ攻撃」(脅威の錯誤)なのだから、「クラスター爆弾を日本が保有する意味はないでしょう」と断言しておられます。重ねて伺いますが、ATTの実質的な推進役であるわが国が、ATTの禁止武器に実際に含まれるであろう非人道兵器としてのクラスター爆弾の保有をやめないことについて、その理由をお聞かせください。(防)(外)
① ジェノサイド条約の締結─ローマ規程の集団殺害犯罪の定義はジェノサイド条約と同じです。ローマ規程を締結する(条件が揃った)のであれば、これまで未締結だったジェノサイド条約も早期締結に踏み切るための条件が揃うのではないでしょうか。(外)
ジェノサイド条約第2条
「この条約では、集団殺害とは、国民的、人種的、民族的又は宗教的集団を全部又は一部破壊する意図をもつて行われた次の行為のいずれをも意味する。」
ローマ規程第6条
「この規程の適用上、「集団殺害犯罪」とは、国民的、民族的、人種的又は宗教的な集団の全部又は一部に対し、その集団自体を破壊する意図をもって行う次のいずれかの行為をいう。」
② 強制失踪防止条約の締結─2006年12月20日に国連総会で採択され、わが国は2007年2月6日の署名開放と同時に署名はしているが4月現在未だ批准はしていません。本条約における「強制失踪」とは、ローマ規程に定める「人道に対する犯罪としての強制失踪」と同じであるはずのため、ローマ規程に批准できるのであれば強制失踪防止条約にただちに批准できない(国内法整備がなされていない)のはおかしいでのはないでしょうか。強制的失踪防止条約の仮訳およびローマ規程の正文においては、「強制失踪」は以下のように定義されています。(外)(法)
強制失踪防止条約第2条
この条約の適用上、「強制失踪」とは、国の機関又は国の許可、支援若しくは黙認を得て行動する個人若しくは集団が、逮捕、拘禁、拉致その他のあらゆる形態の自由のはく奪を行う行為であって、その自由のはく奪を認めず、又はそれによる失踪者の消息若しくは所在を隠蔽、かつ、当該失踪者を法のすることを伴い保護の外に置くものをいう。
同第5条
強制失踪の広範又は組織的な実行は、適用可能な国際法に定める人道に対する犯罪を構成し、及び当該適用可能な国際法の定めるところにより結果を得る。
ローマ規程第7条2のi項
「人の強制失踪」とは、国若しくは政治的組織又はこれらによる許可、支援若しくは黙認を得た者が、長期間法律の保護の下から排除する意図をもって、人を逮捕し、拘禁し、又は拉致する行為であって、その自由をはく奪していることを認めず、又はその消息若しくは所在に関する情報の提供を拒否することを伴うものをいう。
③ ATT武器貿易条約の採択推進─2006年7月24日に国連総会に提示されたが採択に至ってはいない(米国は反対、24ヶ国が棄権)。ATTは、その先駆的存在である国連行動計画のSALW(1995年)の実施の過程で英国・日本の主導により推進されている条約(2003年)で、小型武器のみを対象とした規制実施計画を設けたSALWに対し、ATTは通常兵器の輸出規制をも含む基本的枠組条約の性格を持ちます(2005年)。わが国はATTの着想以来、積極的に同条約の起草推進に取り組んできました。本年2月には外務省主催でATTに関するシンポジウムも開かれています。だがしかし、ATTが定める「通常兵器」には当然、地雷兵器の一種として考えられるクラスター爆弾も含まれています。すなわち、ATTだけでなくオスロ宣言の受託推進も視野に入ってきます。まずATTについて伺いますが、これがクラスター爆弾をも含む通常兵器全般を規制する条約なのであれば、ATTの推進役のわが国としては言行不一致となるような姿勢の表明は国際的信用の失墜に繋がるのではないでしょうか。お考えをお聞かせ下さい。(外)(防)
④ オスロ宣言の受託推進─2007年2月23日にノルウェー主導で、非人道兵器として使用や生産などの禁止が採択されたクラスター爆弾について、わが国は安全保障上の理由からこの宣言への参加を見合わせています(参加した49ヶ国中、宣言に参加しない意向を示したのは日本を含めた3ヶ国のみ)。しかし、DDRの専門家としても知られる東京外国語大学の伊勢崎賢治氏によれば、クラスター爆弾は「戦闘員より一般市民への殺傷率が甚大」(非人道的)であり、「日本にとっての脅威はミサイルや核施設などに対するゲリラ攻撃」(脅威の錯誤)なのだから、「クラスター爆弾を日本が保有する意味はないでしょう」と断言しておられます。重ねて伺いますが、ATTの実質的な推進役であるわが国が、ATTの禁止武器に実際に含まれるであろう非人道兵器としてのクラスター爆弾の保有をやめないことについて、その理由をお聞かせください。(防)(外)