衆議院が国際刑事裁判所(ICC)関連法案・条約を可決・承認
只今入った情報によりますと、国際刑事裁判所(ICC)関連法案及び条約が、午後の衆議院本会議にて全会一致で可決・承認されました。国際刑事裁判所問題日本ネットワーク(JNICC)はこの報を受け、声明を各報道関係者に向けて発表しました。以下は、その声明の全文です(JNICC公式ページにもあります)。委員会と本会議での決議で同法案・条約が可決されると、いよいよ国連条約局に批准書が寄託され、その60日後(二ヵ月後)の1日、日本は国際刑事裁判所の106カ国目の加盟国(※イエメンの批准手続きが遅れた場合は105カ国目)となります。
衆議院での国際刑事裁判所への加入促進を祝する
本日、衆議院は、本年2月27日に閣議決定された国際刑事裁判所設立条約(ローマ 条約)を承認し、同時に、国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律案を可決した。
合わせて、国際刑事裁判所に加入した場合に負担すべき分担金も、つとに、来年度 予算として国会の承認を受けていることを改めて指摘しておきたい。参議院での承認 および同法律案の可決がなされれば、第166国会は、人類史上において画期的とも言う べき常設の国際刑事裁判所に加入する意思表示を明確にしたことになる。
思えば、国際刑事裁判所は、二度にわたる戦争の災禍に反省した二〇世紀前半に構想され、国際社会にとって最も重大な国際犯罪であるジェノサイド(集団殺害)、人道に対する罪、戦争犯罪を公正かつ効果的に裁判し、その実行行為者や上官などにつ いて個人としての刑事責任を追及してこれを処罰するために、一九九八年のローマ条約によって、設立されることになった。
同条約は、60カ国の批准をもって2002 年に発効し、さらに、地域的なバランスを考慮して18名の裁判官が任命され、目 下、4つの事態に関して、鋭意、捜査に取り組み、コンゴ民主共和国の事態に関して、 ルバンガ被告人に対する裁判開始が決定されている。ここに、これまでの「不処罰の 文化」を一掃し、新しく「責任の文化」を生み出そうとする重要な兆しがあると言わ なければならない。
国際刑事裁判所は、我が国の外交の基本方針である「人間の安全保障」を推進する 上でも、重要な手がかりになる。また、同裁判所に併設される被害者基金も、被害者 の救済をも視野に入れた新しい刑事裁判のあり方を模索する上でも、参考になるもの である。 われわれは、日本政府が、国際刑事裁判所に単に加入するだけに満足することにな く、直ちに国際刑事裁判所特権及び免除に関する条約を批准し、さらには有用な人 材の提供や必要な資金の供与を初めとして、国際刑事裁判所のいっそうの発展のため に進んで寄与することを強く期待したい。
また、いまだに加入国が少ないアジア地域 において、積極的に未加盟国に働きかけて、アジアの総意をもって国際刑事裁判所を 支援し発展させるために、率先して模範を示し、加入国を増やすよう努力することを 期待したい。 さらには、数年後に予定されている国際刑事裁判所規程の見直し会議に向けて、侵 略の罪に関する具体的な提案を含めて、専門家やNGOの意見を進んで聞き、この面に おいても優れた貢献ができるように、直ちに準備に取りかかるよう要望する。
2007年3月29日
国際刑事裁判所問題日本ネットワーク
共同代表
植木光教(世界連邦推進日本協議会会長)
新倉 修(日本国際法律家協会会長)
合わせて、国際刑事裁判所に加入した場合に負担すべき分担金も、つとに、来年度 予算として国会の承認を受けていることを改めて指摘しておきたい。参議院での承認 および同法律案の可決がなされれば、第166国会は、人類史上において画期的とも言う べき常設の国際刑事裁判所に加入する意思表示を明確にしたことになる。
思えば、国際刑事裁判所は、二度にわたる戦争の災禍に反省した二〇世紀前半に構想され、国際社会にとって最も重大な国際犯罪であるジェノサイド(集団殺害)、人道に対する罪、戦争犯罪を公正かつ効果的に裁判し、その実行行為者や上官などにつ いて個人としての刑事責任を追及してこれを処罰するために、一九九八年のローマ条約によって、設立されることになった。
同条約は、60カ国の批准をもって2002 年に発効し、さらに、地域的なバランスを考慮して18名の裁判官が任命され、目 下、4つの事態に関して、鋭意、捜査に取り組み、コンゴ民主共和国の事態に関して、 ルバンガ被告人に対する裁判開始が決定されている。ここに、これまでの「不処罰の 文化」を一掃し、新しく「責任の文化」を生み出そうとする重要な兆しがあると言わ なければならない。
国際刑事裁判所は、我が国の外交の基本方針である「人間の安全保障」を推進する 上でも、重要な手がかりになる。また、同裁判所に併設される被害者基金も、被害者 の救済をも視野に入れた新しい刑事裁判のあり方を模索する上でも、参考になるもの である。 われわれは、日本政府が、国際刑事裁判所に単に加入するだけに満足することにな く、直ちに国際刑事裁判所特権及び免除に関する条約を批准し、さらには有用な人 材の提供や必要な資金の供与を初めとして、国際刑事裁判所のいっそうの発展のため に進んで寄与することを強く期待したい。
また、いまだに加入国が少ないアジア地域 において、積極的に未加盟国に働きかけて、アジアの総意をもって国際刑事裁判所を 支援し発展させるために、率先して模範を示し、加入国を増やすよう努力することを 期待したい。 さらには、数年後に予定されている国際刑事裁判所規程の見直し会議に向けて、侵 略の罪に関する具体的な提案を含めて、専門家やNGOの意見を進んで聞き、この面に おいても優れた貢献ができるように、直ちに準備に取りかかるよう要望する。
2007年3月29日
国際刑事裁判所問題日本ネットワーク
共同代表
植木光教(世界連邦推進日本協議会会長)
新倉 修(日本国際法律家協会会長)