国際刑事裁判所(ICC)と日本 [はてな版]

人間の安全保障の発展に貢献する日本と世界の道筋と行く末を見つめます。

2006年大晦日:年末のご挨拶(2006.12.31)

1年間ありがとうございましたm(__)m

当ブログを立ち上げてから、ちょうど1年が経とうとしています。
この1年は元旦に予想したとおり、まさに日本にとって「節目の年」と相成りました。

国内では、4月には与党の議員連盟が発足し、与党と野党が連合する超党派による共闘、そして外務省をはじめとする各省庁の連携によって、8月には政府が来年度加入の意思を報道発表し、10月には安倍首相が国会で加盟の意思を更に明確にする答弁を行いました。さらに12月には、海外の場においても、2007年度中の加盟を明確に意思表示し、国際社会に日本の加盟の意思が揺ぎ無いものであることを印象付けました。また、国際社会への宣言に呼応するかのように初めてICC予算が確保され、来年の加盟に向けて、日本は内堀・外堀とも埋まったという感があります。さらにこれら政・官の連携に加え、法曹界、政界、学術界などの民間の動きも活発になり、1年のうちに様々なイベントが企画および実行されました。

国外では、ICC発足の影響を大きく受けた現象が見受けられました。2006年が始まって早々の1月に、イラクフセイン大統領の弁護団英米の首脳をICCに提訴しようとしたことで、にわかにICCへの関心が集まりました。また同じ月に、英国議会ではICCの訴追を避けるための軍法改正が審議され、ICCが大国に対して及ぼす影響力のほどをまざまざと見せ付けました。しかし、遅すぎる軍法改正に警鐘を鳴らすかのように、イラクアブグレイブキューバグアンタナモ収容所において、数々の虐待行為が発覚し、世界的なスキャンダルとなりました。これらの一連の出来事は、ICCにとっては支持と賛同を集める格好の追い風となりました。さらに、3月の終わりにはシエラレオネ特別戦犯法廷がICCに裁判場所の提供を要請するという嬉しい出来事があり、4月にはICCEUが初めて協力協定を締結するという具体的な進展も見られました。

ICCのあるハーグでは、4月には初公判となる可能性のあるルバンガ裁判の予備審問の幕が切って落とされました。6月にはICPO国際刑事警察機構)とICCの具体的な協力の成果として、ICPO逮捕状が発行されました。そして11月には検察局によりルバンガ裁判を公判に持っていくための決定的な証拠が提示されました。

しかし、1年を通して、ICCにとって追い風な出来事ばかりだったわけではありません。新年始まって間もない1月にはヨルダンが米国との二国間免責協定に批准してしまいました。3月には、旧ユーゴ国際戦犯法廷(ICTY)に収監されていたミロシェビッチ被告が自殺により死亡し、ICTYをはじめとする国際司法の権威に疑惑の目が向けられました。そして12月には、北部ウガンダ神の抵抗軍(LRA)の司令官らに対する初のICPO逮捕状の発行という快挙は、ウガンダでの「和平を妨げる要因」として立ちはだかるという示唆を舐めるに至りました。また一身上の都合とはいえ、ICC判事が1人辞め空席状態となるなど、不安要素も未だ多々あります。

(ここまでの詳細は1年のハイライトを参照)

さて、毎年このような一進一退を繰り返すICCの世界ですが、それでもICCは日本に、世界に着実に浸透しており、その片鱗をこのブログを通してまざまざと確認することができたと思っています。これもひとえに、閲覧・参加してくださった皆様方のご支援と協力の賜物であると私は感じております。

1万件には達しませんでしたが、この1年間でこのブログへのアクセスが9,700弱のアクセスを頂くことができました。「堅い」内容のブログでこれだけのアクセスを頂けるのは、凄いことなのではないかと、最近になって思い始めました。1年を通じて、様々なアンケートキッズ・コーナーICC五行歌などの新たな試みや試行錯誤を通して、より多くの、様々な立場の方々から意見や感想を頂き、切磋琢磨し続けることができたこと、本当に感謝しております。今年もあとわずかではありますが、来年早々にも通常国会が始まり、私たち運動に関わるものは束の間の休息を経て再び臨戦態勢に入ります。どうか来年も、当ブログを引き続きご愛顧頂けますよう、皆様のご支援とご協力の程をよろしくお願い致します。それでは皆様、よいお年をお過ごしください。
平成18年 大晦日
JNICC勝見