国際刑事裁判所(ICC)と日本 [はてな版]

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【宣言】ダルフール問題について平和と正義の追求を求める宣言

スーダンのICC国際刑事裁判所に対する不協力問題及びチベット問題に関する検討会議」
PGA地球規模問題に取組む国際議員連盟

ダルフール問題について平和と正義の追求を求める宣言

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2008年5月14日

スーダンダルフールにおいて紛争が継続中であること、ならびに文民に対する度重なる攻撃により250万人余の国内避難民が発生するとともに20万人余の個人が殺害されていることを深く憂慮し、

2005年3月31日に採択された、ダルフール事態の案件をICC国際刑事裁判所に付託することを決議した国連安全保障理事会決議1593号が、国連憲章7章下の行動としてスーダンを含む全国連加盟国を拘束するものであることを想起し、

我国国会が、2007年に国際刑事裁判所のための条約を全会一致で締約し、ローマ規程に定められる規範と理念の遵守、ならびに国際的に重大な犯罪とされるジェノサイド、人道に対する罪及び戦争犯罪を免責しない決定をしたことを再確認し、

2007年4月27日に国際刑事裁判所モレノオカンポ検察官の要請により、人道に対する罪及び戦争犯罪の疑いで、スーダン政府高官であるアフマド・モハメド・ハルーン被疑者を含む2名の被疑者に逮捕状が発行され、これら2名について逮捕と引き渡しをスーダン政府が依然として行っていないことに留意し、

2008年6月にニューヨークにて開催される、安保理決議1593号に関する安全保障理事会の会合において、国際刑事裁判所モレノオカンポ検察官が(1)問題の2名の被疑者に対する逮捕の執行に関するスーダン政府の非協力的な姿勢の問題、(2)ハルーン被疑者に対する監督権限を持つスーダン政府関係者に対する新たな訴追案件の発生、ならびに(3)反政府集団による国連平和維持部隊要員に対する攻撃に関する新たな捜査の開始を報告する予定であることに鑑み、

2007年12月、国際刑事裁判所モレノオカンポが定例報告を行ったその後において、スーダン政府による決議1593号の不履行を批難する議長声明の採択について中国、カタール、ロシアの反対により安全保障理事会が合意に達せなかったことに対する憂慮を表明し、

こうした現状を鑑み、スーダン政府によって繰り返される同決議の不履行に対し、2008年3月31日にEU欧州連合が同決議執行3周年を記念して発表した声明に見られるように多国間あるいは二国間の取組みで批難あるいは適当な場合は制裁行動に移ることの有効性を認識し、

当議連は、日本政府に対し以下の行動を緊急に求める。

1)	ダルフール問題に関する安全保障理事会における非公式な公開協議、特に憲章7章下の行動として採択された決議1593号に関する協議について、国際正義の執行がスーダン国内外における平和と安全の確保のために必要不可欠であるという認識のもと、十分に情報を把握しかつ積極的に関わること。

2)	決議1593号の履行についてスーダンを含む全国連加盟国の協力を確保しICC国際刑事裁判所検察官が行うあらゆる要請を支持すること。

3)	免責の悪循環を絶ち文民の保護を実現することなく本件に関する包括的で実効性のある解決は見込めないことに留意し、国際刑事裁判所ローマ規程第87条パラ7及び国連憲章第7章の関連条項の規定にスーダン政府が従わない場合に安全保障理事会がとりうるあらゆる措置が実効性をもって行われるよう努めること。

4)	逮捕及び引渡しを含む、スーダン政府において不履行を続ける個人に対する次の一連の制裁措置を、欧州連合、米国など各関係国との連携により実行する体制を整えること。

a.	国際刑事裁判所に対する協力を阻害していると確定された、スーダン政府閣僚を含むあらゆる個人の資産の凍結と没収
b.	これら個人が行う商取引、これら個人もしくはこれら個人の保有する営利法人が管理運営する貿易事業、又はこれら個人が保有するその他の法人、さらにこれら個人と取引する日本の個人及び日本法人の活動を阻止する措置
c.	これら個人によるスーダン国内外での活動を監視・追跡するためのICPO国際刑事警察機構および国際刑事裁判所とのより緊密な連携の実現
d.	人権、正義、平和と非暴力的手段による発展及び改革を標榜するスーダン国内の民主的な勢力の役割及び地位を合法的に強化する措置及び計画の実施

5)	ダルフール問題に関する状況の変化、安全保障理事会及びその他国際的な場における最新の協議内容(特に常任理事国のそれぞれの政治的立場、ならびに日本政府自身が決議1593号に基づいて実施している人道的措置の状況)などを国会に対し遅滞無くまた十全な形で報告すること。