国際刑事裁判所(ICC)と日本 [はてな版]

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【総括】ICC批准に当たって行われた自衛隊法改正内容等

以下は、当ブログに対するTB先の記事へのコメントに対する回答として投稿した一連のコメントを、より見やすくまとめたものです。尚、当ブログはあくまで非公式のブログであるため、以下の回答は私個人の理解に拠るものであり、JNICCを代表するものでも、政府各省庁の公式見解を代弁するものでもありません。
Q:このタイミングで批准されたのは、自衛隊法改正と関連しているのではないかと思っていましたが、「その1つが、武力事態法の制定に伴うジュネーブ条約追加議定書への加入とそのための自衛隊法・刑法改正です。」について、加入の動機と自衛隊法の改正点について具体的に教えてください。
2007/8/19(日) 午前 8:18 [ jnkmsd ]

jnkmsdさん、お問合せありがとうございます。

簡単に説明させて頂きますと、第二追加義議定書加入に伴う自衛隊法改正と、国際刑事裁判所ローマ規程への批准のタイミングは、実はあまり関連がありません。追加議定書への加入は、2004年8月の段階で為されています。したがって、最近行われた防衛省設置法などに伴う自衛隊法の改正には、ローマ規程の批准に伴う改正は行われていません。

追加議定書への加入にあたっての動機や政府の解釈は、外務省公式サイト(概要説明 解釈宣言)が最も適切に説明していると思われますが、私たちJNICC等の市民社会に対して行われた説明への理解は、次のとおりです。

追加議定書への加入とそれに伴う自衛隊法の一部改正は、武力事態法に定める「第三分類」という、住民の保護・避難に関する国内法を整備する為、すなわち有事(紛争時)における軍隊構成員と文民の保護の両方を実践するために、ICCが管轄する戦争犯罪を犯さない為の法的担保として行われたものです。

具体的には、陸海空における軍隊構成員の傷病者、衛生要員、宗教要員、衛生施設、衛生用輸送手段等の保護と保全、捕虜の保護と人権の保障、紛争当事国又は占領国の権力下にある外国人等(文民報道関係者)の保護等4つの保護対象を規定し、これら保護対象及びジュネーブ条約に定める規定に対する重大な違反行為の防止のための措置として、その罰則規定の根拠をローマ規程に求めるものです。より具体的な改正内容については、防衛省サイト(捕虜等の取扱い重大な違反行為の処罰に関する法律の概要)をご参照ください(本来、外務省はここへリンク貼るべきですよね…)。各法律の実際の条文については、「捕虜等の取扱い」については7aを。「重大な違反行為の処罰」については、8aを、それぞれご参照ください。

※参考URL一覧

《当ブログ》
1 武力紛争に関する諸条約一覧(2006.2.20更新)








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