国際刑事裁判所(ICC)と日本 [はてな版]

人間の安全保障の発展に貢献する日本と世界の道筋と行く末を見つめます。

【国連】ICC加入書寄託の瞬間(現地報告・その1)

17日の加入書寄託の際には、急遽、こちら側の無理な要請に快く応え、JNICC代表代理として現地ニューヨークの猿田弁護士がお仲間と参加してくださいました。加入書寄託の瞬間に立ち会ってくださった、その猿田弁護士より、現地からの参加報告が上がって参りましたので、本人許諾の上、以下に全文をありのまま転載いたします。

加入書寄託の瞬間に立ち会った猿田弁護士からの報告

NY時間7月17日午後4時半、NYの国連本部で、大島賢三国際連合日本政府
代表部大使が、Annebeth Rosenboom 国連法務局条約課長に、加入書を渡しました。
国連のミシェル法律顧問が立ち会いました。

寄託後、記者からの質問に対しての大島大使の発言は概ね以下の通りでした。

「(日本の批准に時間がかかったことについて)少し時間がかかったが、日本は、当初からローマ規定作成当初からICCに対しては積極的に関与してきた。」

「日本の批准でアジアの国々にいい影響が与えられるとよい」

「(アメリカは入っていないがとの質問に対して)アメリカはアメリカ自身で独自の判断をしている。」

「本年12月に行われるICC裁判官選挙で、日本人をぜひ選出したい。」

ミシェル法律顧問が大島大使と握手をしながら、

「日本は少し時間がかかったけど、日本みたいに批准までに時間をかけて国内法を整備する国と、全く何も国内整備をしないですぐ批准する国とあるけど、日本はしっかりと用意をする国だからこのくらい時間がかかったんだね。」
と、仕方ないね、というか、日本はしっかり準備をするちゃんとした国だね、
というのか、少しばかり皮肉なのか、、、
自分で納得するように?話をしていたのが印象的でした。

会場にはNGOからも、CICC(Coalition for the International Criminal Court)
の方、PGA(Parliamentarians for Global Action)の方などがいらっしゃって
おり、記者もちゃんとそろっており、狭い署名室(「signature」という部屋)
が、人でいっぱいでした。大島大使は、こんなに人が集まっているとは思ってい
なかったようで、びっくりしておられました。
大島大使や国連の方々も、NGOの力も大きく今回の発展に寄与をしたと言ってい
たように記憶しています。

近年、国連と国際刑事裁判所をつなぐオフィスが国連に出来(Liaison Office to
the United Nations)、そこの長のSocorro Flores Lieraさんという方が来ておら
れて、とても感慨深そうにしておられたのも、印象的でした。

もっとも、その場にいて一番うれしそうにしていたのは、やはりずっと頑張って
きたNGOの方々でした!私も、遠い昔、アムネスティ日本の国際人権法チームで、
「国際刑事裁判所って何?」という冊子を作ったことを思い出しました。また、
イラクアフガンの国際民衆法廷の活動も、少しくらいは今日の日を迎えるのに
役立ったかなあ、と思ったりしていました。

NYはやっぱり、国際関係に取り組むには絶好の環境ですね。こういう重大な局面
を目撃することが、(各方面にお手伝いいただき、ご迷惑もおかけしながらです
が)頻繁に出来ますので。これからが勝負の、国連のPBC(Peace Building
Commission:世界の紛争国の紛争後の処理が適切になされるように提言・調整を
行う機関)の議長国に日本が選出されたその委員会も、先日偶然目撃するこ
とが出来ましたし。
日本の国連でのプレゼンスが、平和と、そして少しでも多くの人の人権状況改善
のために役立ちますように!

もし、みなさまも、NYで何か、私に出来ることがあればご連絡ください。

猿田
文責:日弁連・猿田佐世弁護士
編纂:JNICC勝見