国際刑事裁判所(ICC)と日本 [はてな版]

人間の安全保障の発展に貢献する日本と世界の道筋と行く末を見つめます。

(上)17日開催のソン判事・議員懇談会の公開議事録

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                   冒頭挨拶をする国際刑事裁判所のソン判事

国際刑事裁判所サン=ヒュン・ソン判事の来日を歓迎する

ICC有志による合同懇談会 ~ (ソン判事挨拶編)

通訳: 寺中 (AI Japan)
※議事録中、敬称略

司会挨拶

(犬塚)
みなさま今日はお集まりいただきありがとうございます。ソン判事ようこそいらっしゃいました。拍手でお迎えしたいと思います。

ソン判事はアジア・パシフィック地域では、唯一のアジア系の判事であります。今回の日本のローマ規程の批准を喜んでおられてそしてまた日本から判事をはじめ、いろんなスタッフが来られることを楽しみにしておられます。

それではソン判事にお話を10分程度いただきまして、そのあと質疑に入りたいと思います。

ソン判事挨拶
(ソン)
本日このような素晴らしい機会を与えていただきまして、特に重要な参加者の方々を受けて、日本が今度ICCに加入されるということ、その結果、国際的な刑事司法の手続きについて、重要な役割を果たすということについてみなさんとお話をさせていただくことができて本当にありがとうございます。

ICCが1998年の外交会議で採択されました。これは国際法の分野、人権を守る分野、免責との戦いにおいて、非常に大きな一里塚になったと考えています。

日本がこの度ICCのローマ規程に加入するということこれは大変重要な意義を持っています。ICCが発効してからわずか5年でなされるということに意義があります。これはとりもなおさず、人権、国際的な平和を守るための活動に対して日本がはっきりと約束を示すということでもあります。ですから大変歓迎いたしております。

ICCはみなさんご存知の通り、現在104カ国が加入しております。これは既に世界の半分の国々が加入しているということです。これは大変な成功であるということができると思います。しかしながら私たちが所属しているこのアジア・太平洋地域においては、いまだに加入状態は芳しいものではありません。しかしこのアジア・太平洋地域というのは世界で面積、人口、経済規模、潜在力という面においても際立って大きい地域であります。

日本がアジア・太平洋の中でも重要な位置を占めるといっても過言ではありません。

日本政府がこの度、ICCに加入されるということは、アジア地域が、ICCに対してコミットしていくと意思表示していることに等しいわけです。

日本が世界、そしてアジア地域で果たしていく重要な役割について考えるならば、今回、日本がICCに加入されるという事件はアジア・太平洋地域の他の国々に大変よい影響力を与えることになります。

国際刑事裁判所は、まったく自分達の下には力をもっておらず、基本的には各国の警察力などに頼っているわけであります。

したがって日本のICCへの加入は非常に重要な意味を持っております。

そのような状況でございますから、ICCは実際に活動するときに各国の協力を得ることになります。たとえば捜査をする場合にも法医学的な捜査も、鑑識的な捜査も、それからまた証人に対するさまざまな形の捜査というものもありますし、それから最終的にはそこで得られた結論で刑を執行するという段階に至るまで、各国の協力は必要なわけです。

これを実現するためにICCは現在、各国といわゆる刑事司法に関する協力のネットワークをつくっておりまして、そこには警察に関する協力というものも入っております。

その意味においても今回の日本の加入は大きな意味を持っていると思います。

今回日本の加入の重要性はさらにありまして、私どもが補完性の原則と呼んでいるものに対して非常に重要な貢献をされるという風に考えております。

みなさんご承知の通り、ICC国際法上、戦争犯罪、ジェノサイド、人道に対する罪、この三つに関して捜査、取調べを行っていくという機関でありますけれども、ここにおける日本の協力が非常に重要になってきます。

そのような犯罪に対する取調べ、あるいはそれを扱うというのはまず第一義的には国内法が優先します。つまり国内法が十分に機能しない場合、国家がしないような場合、あるいはしようと思っていない場合、最後の手段としてICCが発動するというのがICCの基本的な考え方です。ですから非常に重要な機会を日本に対して与えているということになります。

すなわち国内法においても、自分たち自身がもっている国内法における国際刑事裁判所が使うようなそういう犯罪に対する処罰のありかたであるとか捜査のやりかたであるとか、刑事司法をもう一度見直す機会になるであろうと思います。

日本の加入はICCにとっても内部的に非常に重要な意味を持っています。といいますのは、日本には大変すぐれた法律家の方々、行政官の方々、弁護士の方々がいらっしゃいます。こういう方々がICCの手続きに参加されるあるいは内部に参加されるということになってきますと、ICCは真に国際的な機関になるという部分がもっと強化されることになります。実際的にICCは国際的にさまざまな法体系を受け継いでいるということになってくるわけです。

既に実は、ここで告白しますと、私自身が担当している部署の中で日本人のインターンを受け入れることを決定いたしました。ご本人の事情次第ですけれども8月頃には着任するというふうに考えております。

また日本が参加されるということは資金的にも国際刑事裁判所を非常に強化することになります。日本が第一位の分担金拠出国となります。これは間違いなくICCの財政的な安定を増すことになります。そしてまた国際刑事裁判所は財政的にもしっかり資金運用をやっていくということを義務づけられることになりますし、それをしっかりやっていくということになると思います。そういう実態はちゃんと全加盟国に対して示さなければならない。特に大きな拠出金を出す国に対してはもっとしっかりと見せていかなければならないという風に思います。

現在は第一位の拠出国はドイツでありまして、私の国、韓国は第7位であります。

最後にあらためて日本がICCへ加入することをみなさまと一緒に歓迎したいと思います。
ありがとうございました。