国際刑事裁判所(ICC)と日本 [はてな版]

人間の安全保障の発展に貢献する日本と世界の道筋と行く末を見つめます。

【Q&A】国家の非合法活動は規制しないべきではないか?

以下は、本ブログでの問いかけ(質問ではありません)に対して返した私なりの見解をまとめたものです。

Q1:諜報活動のような「国家による非合法活動」を規制するのは不可能でしょうし、規制するべきでもないのでは?
A:いいえ。世界の潮流はそれを「規制すべき」というコンセンサスに辿りつきつつあります。それは主権至上主義の終焉でもあり、いまさらホッブスよろしく弱肉強食のみの原始的なカオスが支配する社会に逆戻りする必要はありません。その根底にあるのは、国際社会が抱える問題の全てにおいて、単独覇権を目指したり単独解決を図ろうとしても、自ずと無理が生じるという現実認識が芽生えてきているからです。

世界は一国や数カ国の大国のみによって運営できるほど単純でなくなってきています。この大きな潮流に大国は次々と適応していっています。いま一番適応できていないのが、米国です。

ロシアも最近危険な兆候が見られますが、エネルギーバブルに浮かれて覇権主義を復活させようとしても、もう現代においては覇権確立は不可能です。経済バブルを経験したことないロシアは、それがはじけたときに、結局泡沫の繁栄でしかなかったことを思い知り、今度こそ国づくりに全力を傾けることでしょう。

したがって、今回の問いかけに対する私なりの総合的な見解は次のとおりです。

国家による非合法活動をなくすのが現代の国際コンセンサスである。


Q2:テロリスト・組織犯罪及びその支援国家に対しては「非合法手段をもっての戦い」が不可欠?
A:いいえ、拙速な非合法手段に訴えることがいかに非生産的かつ重大な欠陥を孕むかはイラクの現状が教えてくれています。私たちはこのことから学び、“非合法手段によって非合法な存在を取り締まること”の不条理さを悟るべきです。

これまであらゆる犯罪に対して合法的に対処してきたのが、法治国家の集まりである国際社会のならわしでした。それを突如として、旧時代のやり方を試してしまったのがアフガンおよびイラク攻撃でした。結果、アフガンが平和になったかといえばそうではない。イラクはどうなったか。内戦状態です。そしてテロの危機が全世界的に広がっただけではないですか。

テロに対して非合法的手段は決して有効ではなく、またそれ故に正当化できる手段でもないのです。人類はこれで、非合法手段と合法手段によるテロとの戦い両極を経験したのです。ここから学びとるべきことは、どちらか一方の方法に絞るのではなくその混合でどのような最適なフォーミュラ(調合)を作り上げるかです。寛容では付け上がらせるだけ、強硬だと反発と激化を招くだけ。ではその中間は?それを考えることが肝要でしょう。

テロは卑劣な犯罪です。しかし従来のやり方では硬軟双方で取り締まりきれない厄介な犯罪です。ならば1つの方法論に固執せず、戦略の最適化を図るべきでしょう。国際刑事裁判所ICC)はその一翼を構成しようとしています。

したがって、今回の問いかけに対する私なりの総合的な見解は次のとおりです。

非合法手段によって非合法な存在を取り締まることはできない